「2010年山縣勝見賞」受賞者決定

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、国民生活に重要な役割を果たしている海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を対象として表彰する制度を発足しましたが、その第3回目に当たる「2010年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します。
なお受賞者への贈呈式は7月12日、海運クラブにて行います。

・著作賞(賞金30万円)

  宮本三夫氏著『太平洋戦争 喪われた日本船舶の記録』
  (成山堂書店、2009年3月発行)
  受賞者略歴:
  三井船舶(現商船三井)を経て1968年~1987年国連貿易開発会議(UNCTAD)事務局海運部勤務
  受賞理由:海上補給作戦破綻の背景と戦争継続能力への影響、商船隊及び船員等の被害、運航主
  体(徴傭別)を中心とした分析、輸送船団の展開と被害、被害分析結果の総括、商船隊及び船員等
  の被害などの観点から詳細に分析しているほかに、商船隊及び船員等の被害、沈没の原因、船種
  ・船型および被害海域などを克明に分析し、その実態を精緻に解明していること。

・論文賞(賞金20万円) 

  新井真氏執筆「自然資源損害賠償と懲罰的損害賠償の接点 :
  エクソン・ヴァルディーズ号事件を契機とした米国の動向とわが国における射程」
  (博士学位申請論文2008年2月)
  受賞者現職:
  川崎汽船(株)経営企画グループグループ長補佐
  日本船主協会政策幹事長、解撤幹事長
  2009年3月今回受賞論文により早稲田大学より博士号(法学)取得。
  受賞理由:1989年のエクソン・ヴァルディーズ号事件を契機とした米国における自然資源損害賠償
  の潮流を詳細に分析するとともに、2007年の第9巡回区連邦控訴裁判所判決までを対象に英米法
  に特有な懲罰的損害賠償を代表的な連邦裁判所判決に沿って克明に論究していること。

・功労賞(賞金20万円)

  戸田修三氏(中央大学名誉教授)
  受賞者略歴:
  中央大学教授、学長、日本私立学校振興・共済事業団理事長等を経て
  現在中央大学名誉教授
  受賞理由:長年にわたり大学教育の発展に尽力する傍ら、海商法関係の分野を中心とした商法学
  全般の学術研究に従事し、学界において多大な功績を果たした。多数の著書および論文の中で
  とりわけ著書「海商法」は海商法分野における代表的な体系書としてわが国における海商法学の
  発展に著しく貢献した。また、海難審判制度の比較法的研究を通じ、わが国における海難審判制度
  の改善や充実にも多大な功績を果たした。

なお、本件に関するお問い合わせは、下記へお願いします。

財団法人 山縣記念財団 事務局 郷古 TEL(03)3552-6310