「2015年山縣勝見賞」贈呈式開催
当財団が海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰するために、2008年に創設した「山縣勝見賞」は本年第8回目を迎え、7月21日(火)「2015年山縣勝見賞」の贈呈式を、海運クラブにて開催致しました。
「2015年山縣勝見賞」贈呈式における記念撮影 2015年7月21日 於海運クラブ
左から 大坪新一郎氏(著作賞)、鈴木理沙氏(論文賞)、杉山武彦氏(功労賞)、
植村保雄氏(特別賞・(公財)日本殉職船員顕彰会 理事長)
(写真をクリックすると大きくなります。)
受賞者、受賞者略歴、受賞理由は以下の通りです。
≪著作賞≫
大坪新一郎・加藤光一・仲條靖男・成瀬健 共編著
『シップリサイクル条約の解説と実務』
(成山堂書店 2014年6月刊)
受賞者略歴:
・大坪新一郎氏
1985年東京大学工学部船舶工学科卒業、東京大学修士(船舶工学)、ハーバード大学
修士(公共政策学)、東京大学博士(環境学)。1987年運輸省入省。OECD(経済協力
開発機構)、JETROロンドン事務所、国土交通省海事局安全基準課国際基準調整官等
を経て、現在、海事局船舶産業課長。2010年より東京大学大学院新領域創成科学研究
科講師(非常勤)
・加藤光一氏
1983年東京商船大学商船学部航海学科卒業、運輸省入省。神戸海運局船舶部船舶検査
官、海上技術安全局安全基準管理官付、国土交通省海事局検査測度課補佐官、JETRO
ロンドン事務所、(財)日本海事協会出向、海事局船舶産業課国際業務室長を経て、
現在、海事局安全政策課長。
・仲條靖男氏
1976年山口県立宇部工業高校機械科卒業、日本鋼管(株)入社。1988年国際協力事業
団によりインドネシア造船技術指導専門家として派遣。(財)海外造船協力センター技術
協力部、(財)日本造船技術センター海外協力室、現在(株)日本海洋科学海外事業
グループ統括部長。2012年より室蘭工業大学大学院工学研究科博士課程修学中。
・成瀬 健 氏
1990年北海道大学工学部機械工学科卒業、北海道大学大学院修士(機械工学)、運輸省
船舶技術研究所(現独立行政法人海上技術安全研究所)入所。非破壊検査、船舶のライ
フサイクルアセスメント(LCA)及びシップリサイクルに関連する調査研究に従事。
2011年4月より一般財団法人日本海事協会研究開発推進室シップリサイクル事業推進
チーム技師。
受賞理由:
船舶の安全な解体と環境保全の見地から、2009年5月に採択された「安全かつ環境上適
正な船舶のリサイクルのための国際香港条約」(シップリサイクル条約)の ①条約策定
までの背景や経緯、②採択に日本が果たしてきた役割、③関連する国際規則との関係、
④条約に基づく手続きの実務、⑤リサイクル施設の要件と手続き、⑥必要な様式の解説
と作成例、⑦各国リサイクル施設の情報などについて、条約の策定に直接かかわった関
係者が共同して執筆したものである。船舶が解体されるに際しては、環境に配慮して適
正に解体処理を行うことが重要である。本書は、今後の施策立案のための基本書として
も高く評価できる。
≪論文賞≫
鈴木理沙著「定期船・不定期船を対象とした外航海運におけるCO2排出量の削減策の検討
に関する研究」
(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科・応用環境システム学専攻・博士学位論文
2014年3月)
受賞者略歴:
東京海洋大学海洋工学部流通情報工学科卒業後、2014年同大学大学院 海洋科学技術
研究科・応用環境システム学専攻を修了し、
現在、広島商船高等専門学校流通情報工学科助教。
(専門分野 船舶海洋工学・社会システム工学・ロジスティクス)
受賞理由:
定期船(コンテナ船)と不定期船それぞれのCO2削減策を、CO2削減効果とロジスティクス
費用(輸送費と在庫費)変化の二つの観点からとらえて論じている。効率性を第一に考える
サプライチェーン・ロジスティクスと、営利を第一に考えるべきでないことを旨とする環境
問題を融合させている点は新規性があり、評価できる。
また、船舶のみならずサプライチェーンの視点から陸上輸送・物流コスト・荷主への影響にも
言及し、CO2削減には船社だけでなく複数の関係者の連携が必要であると指摘しており、今後
船社がCO2削減に向けて検討する基礎資料となる可能性を秘めている。
≪功労賞≫
杉山武彦氏
受賞者略歴:
1944年生まれ 一橋大学大学院商学研究科博士課程修了
一橋大学商学部教授、一橋大学学長、成城大学社会イノベーション学部教授などを歴任し、
現在、一般財団法人 運輸政策研究機構 運輸政策研究所所長、一橋大学名誉教授。
受賞理由:
長年に亘り、我が国の海運・航空・港湾・交通等に関する学術研究に尽力され、また、
学会においては日本海運経済学会及び日本交通学会の会長を務めて多くの後進を育てた。
更に、原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長、航空政策研究会会長、公益事業学会理事
等数多くの公職を務め、わが国の行政や社会活動面で多大な貢献をなした。
≪特別賞≫
公益財団法人日本殉職船員顕彰会
(戦争等による殉職船員の慰霊とその功績を伝える事業に対して)
受賞団体概要:
1971年複数の海事関係団体が中心となって戦没船員の記念碑が建立され、追悼式典が開
催されていたのを引継ぎ、当会は、戦没船員の慰霊、顕彰事業に加え、戦後の海難等に
よって殉職された船員の慰霊とその遺族の援護を行う目的で、1981年海事関係団体や行
政の支援によって設立された。この目的を達成するため、当会が行っている主要事業は
以下の通り。
(1)戦没・殉職船員の追悼行事の実施
(2)戦没船員の碑及び殉職船員の碑の維持管理等に対する協力
(3)戦没・殉職船員の功績等の調査及び名簿の作成
(4)戦時徴用船遭難の記録画等の展示会の開催
(5)戦没・殉職船員の遺族に対する援護
受賞理由:
戦没・殉職船員の名簿の作成、追悼・慰霊・遺族への援助活動や大阪商船(株)元嘱託
画家大久保一郎氏の絵画展の開催等により戦時徴用船遭難の記録を後世に伝える事業等、
当会が行ってきた活動に対して、これらを顕彰し、日本と世界の恒久平和への誓いを新た
にすることは、戦後70年である本年に当たって意義のあることだと思われる。
以上
本件に関するお問い合わせは、下記へお願いします。
一般財団法人 山縣記念財団 TEL(03)3552-6310