『海事交通研究』(年報)第66集を発行しました。

≪序文から≫
  「海」や「船」そして「海運」の魅力や「海の日」の意味は、どの程度、国民の皆さんに伝わっているのでしょうか?
  多くの海事関係者が、我が国の置かれた環境を語る時の定型文言があります。それは、「四面を海に囲まれた(「四面環海」の)日本」という表現です。その後に続く文章は、それが故に、(資源の乏しい)日本は自給自足だけでは国民生活が成り立たず、資源の多くを海外に依存しているということです。そして、その資源の輸入の99.6%(重量ベース)は海上輸送が担っている、というストーリーになっています。しかし、この程度のことでさえ国民にうまく伝わっていないために、必要な海運政策に理解が得られにくいと指摘する海事関係者もおられるようです。
  海運の重要性を理解して頂くことは、海事産業が世界と単一市場で渡り合っていることにより税制や諸制度において海外とのイコール・フッティングを図ることの必要性についても理解を得られやすくなり、また、海事産業への人材確保にもつながります。同時に、国民の理解を背景に、航行安全の確保や地球環境の保全に対しての海運界の取組は、より成果を上げることが期待できると思います。これらは海事産業界のメリットに留まらず、回り回って国民の生活の維持・発展につながることでもあります。

  さて、今号では、3つの指定テーマに対して全て応募があり、自由テーマも含めて11件と言う多彩な論文等を掲載することが出来ました。また、本年より、「研究論文」を対象に、財団外部の先生方による「査読」を導入しました。そのため、編集に当たり、執筆者並びに査読者の皆様に多大な労力をおかけしましたが、それだけに充実した内容になっていると思います。また、「研究論文」のほかに「招待論文」、「研究ノート」、「現地調査報告」も併せて掲載しております。関係各位に心から感謝申し上げる次第です。
  冒頭の星野氏(日本海運経済学会会長)による「産業の集積とイノベーション」は、海事クラスターの視点から、本年の「指定テーマ1:日本にとって「海運」とは何か?」について述べて頂きました。わが国の海事クラスターについては、2001年杉山武彦氏による当誌第50集掲載の論文「海事クラスターの概念とその周辺-概念とその政策上の意義についてのノート-」を先駆けとして、2015年及び2016年の当誌上でも取扱いましたが、星野氏は、日本には海事産業の集積地域はあるものの、海事クラスター構成要素間の横のつながりが依然として弱いこと、従来の枠組みを超えた産官学の連携の強化を図る必要もあること、そうしたつながり、連携の強化が、日本独自の海事クラスターを再定義することに役立つと指摘されています。また、来年度の指定テーマでも「海運・造船・港湾と地方創生」という視点から、海事産業の地域的集積が地域の活性化にどのようにつながっているか考察して頂きたく、皆様からのご投稿をお待ちしております(詳細は巻末のご案内を参照下さい)。
  次に「指定テーマ2:神戸港・大阪港開港150年」については、1件の「研究論文」と2件の「研究ノート」が寄せられました。堂前氏・松本氏の共著による「神戸市の海事部門における集積の経済の検証」は神戸市における海事クラスターの集積について、示唆のある分析をされていると思います。
  また、井上氏による「開港後の神戸の気象観測と海洋気象台」、並びに、出口氏による「神戸開港150年記念事業を終えて ―神戸港のさらなる発展に向けて―」においても、開港以来の神戸港の発展について概観するとともに、本年の記念事業を終えて、将来への課題について言及しています。
  「指定テーマ3:海運業界の環境対応」では、水成氏による「バラスト水管理条約の発効と今後の課題」で、喫緊のテーマについて解説しております。
  「自由テーマ」の先頭は、大貫氏による「北極海航路の運航実務と技術的課題 ―氷を知り氷に挑む―」で、北極海航路に係わる最新の知見について披露しております。
  次いで、永岩氏の「国際フィーダー輸送の拡大に伴うトラック輸送の軽減に関する研究」では、「労働力不足」の観点から内航海運へのモーダルシフトについて、実質的な処方箋が示されました。
  この後の3論文についてですが、大河内氏の「核燃料海上輸送の安全管理と無害通航権―技術基準と権利義務内容の変化―」では、核燃料海上輸送に際して、船舶の無害通航権と沿岸国主権の調整という課題に対して、また南氏の「無人船舶の航行と海上衝突予防法」では、近い将来にも実現の可能性のある無人船舶について、更には、下山氏の「係争海域内での海洋の科学的調査―第三国による実施に伴う課題を中心に―」では、実際に当該海域で海洋調査を実施する場合には、いずれの国に実施申請を行い、いずれの国の法令に従うのかといった未解決な課題について、夫々法律的なアプローチがなされており、いずれも今後の議論展開に際して大いに参考になる論文であると思います。
  最後に、イノウエ氏と米田氏の共著による「イシブラスがブラジルに残したもの―ブラジル日本合弁造船事業の結果検証―」は、2度に亘って進出と撤退を繰り返したイシブラスなど日本の造船界について、イシブラスと関わりのあった人々への聴き取りなどを通して、そのブラジル社会に与えた影響力について考察しており、今後の日本の対外進出や日本国内でのグローバル化に向けた対応の参考に供することが出来ると思います。

  今年(2017年)は、「海の日」が祝日に制定(1996年)されて21年、「海洋基本法」が制定(2007年)されて丁度10年に当たり、3月末に公示された「新学習指導要領」には、長年海事関係団体の念願であった、海事産業が果たす重要な役割について盛り込まれました。各地の小中学校の教育現場でも、これを受けて社会科などで成果が上がることが期待されます。そこで、来年度のもうひとつの「指定テーマ」には「海事教育の現場から」を選定しました。小中学校の先生方など、広い分野の現場の皆様からの応募を心よりお待ちしております。

  重ねて、今号も無事にこのように皆様にお届け出来ることに感謝すると共に、来年度も沢山の応募が寄せられることを期待しております。

2017年12月
                            一般財団法人 山縣記念財団
                             理事長    郷古 達也
 

 

 12月22日発行後、海事関連の研究者の皆様や企業、団体並びに公立や大学の図書館に配本しました。関心をお持ちの方は、下記の「お問い合わせフォーム」から、又はお電話にてお申込み下さい。
 又、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。       

一般財団法人 山縣記念財団

お問い合わせフォーム
TEL(03)3552-6310

 
≪目次≫
序文 郷古 達也
【指定テーマ1 日本にとって「海運」とは何か?~海事クラスターから
 の検討~】
  ≪招待論文≫
     産業の集積とイノベーション 星野 裕志
【指定テーマ2 神戸港・大阪港開港150年】
  ≪研究論文≫
     神戸市の海事部門における集積の経済の検証 堂前 光司/松本 秀暢
  ≪研究ノート≫
     開港後の神戸の気象観測と海洋気象台 井上 篤次郎
     神戸開港150年記念事業を終えて ―神戸港のさらなる発展に
     向けて―
出口 幸治
【指定テーマ3 海運業界の環境対応】
  ≪研究ノート≫
     バラスト水管理条約の発効と今後の課題 水成 剛
【自由テーマ】
  ≪招待論文≫
     北極海航路の運航実務と技術的課題 ―氷を知り氷に挑む― 大貫 伸
  ≪研究論文≫
     国際フィーダー輸送の拡大に伴うトラック輸送の軽減に関する
     研究
永岩 健一郎
     核燃料海上輸送の安全管理と無害通航権―技術基準と権利
     義務内容の変化―
大河内 美香
     無人船舶の航行と海上衝突予防法 南 健悟
     係争海域内での海洋の科学的調査―第三国による実施に
     伴う課題を中心に―
下山 憲二
  ≪現地調査報告≫
     イシブラスがブラジルに残したもの―ブラジル日本合弁造船
     事業の結果検証―
マリレイア・イノウエ/米田 清
   ※≪研究論文≫は、査読付き論文です。

                              

 

≪執筆者紹介≫
(掲載順) 
星野 裕志(ほしの ひろし)
 慶應義塾大学法学部政治学科卒業。米国ジョージタウン大学経営大学院修士課程修了(MBA)。日本郵船(株)、神戸大学経営学部経済経営研究所助教授を経て、現在、九州大学大学院経済学研究院教授。神戸大学海事科学部、タイ国立Mae Fah Luang大学客員教授。2011-12年、2015/2017年 米国コロンビア大学訪問研究員。ビジネススクールを中心に教育・研究活動に携わる。専門分野は国際経営、国際物流。「定期船海運業における戦略的提携-船社間の協調と競合-」(1999年日本海運経済学会賞受賞)、「海運企業のグローバル展開とマネジメント」(同学会2004 年度ベスト・ペーパー賞受賞)、「海運企業のグローバル・オペレーションを支える組織の分析」(当誌第58集、2009年)はじめ多くの論文の執筆の他、現在科研プロジェクト「パナマ運河拡張の国際貿易と物流への影響」を研究中。国土交通省、自治体などの各種委員会委員、市民活動の育成など幅広い活動に従事する。日本海運経済学会会長、多国籍企業学会理事、国際ビジネス研究学会理事、ケース・メソッド研究会主宰。

堂前 光司(どうまえ こうじ)
 神戸大学海事科学部卒業。同大学院海事科学研究科海事科学専攻博士課程前期課程修了。現在、同博士課程後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC2)。研究テーマは、我が国の拠点空港/港湾における国際競争力強化に向けた研究。主要論文は、「国際航空輸送からみたアジア主要都市の拠点性の検証-関西国際空港を活用した大阪の国際都市戦略に向けた提言-」(平成28年度(公財)関西交通経済研究センター懸賞「提案・提言」論文優秀賞受賞)、‘Business Connectivity, Air Transport and the Urban Hierarchy: A Case Study in East Asia. Journal of Transport Geography’(日本交通学会2016年学会賞(論文の部)受賞)、「海事部門における管理機能の集積とその形成要因-アジア地域を中心に-」(日本海運経済学会第17回国際交流賞受賞)等。所属学会は、日本海運経済学会、日本交通学会、アジア交通学会、およびAir Transport Research Society。

松本 秀暢(まつもと ひでのぶ)
 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程現代経済学専攻単位修得退学。博士(経済学)。現在、神戸大学大学院海事科学研究科准教授。専門分野は、国際交通論、交通経済学、都市経済学等。主要論文は、‘International Air Network Structures and Air Traffic Density of World Cities. Transportation Research Part E’(日本海運経済学会第17回学会賞(論文の部)受賞)、‘Business Connectivity, Air Transport and the Urban Hierarchy: A Case Study in East Asia. Journal of Transport Geography’(日本交通学会2016年学会賞(論文の部)受賞)、「海事部門における管理機能の集積とその形
成要因-アジア地域を中心に-」(日本海運経済学会第17回国際交流賞受賞)。また、「日本拠点空港の国際競争力強化に関する研究」により、(一財)村尾育英会第33回学術奨励賞受賞。Journal of Transport Geographyの国際編集委員。所属学会は、日本交通学会、日本海運経済学会、応用地域学会、アジア交通学会、Air Transport Research Society等。

井上 篤次郎(いのうえ とくじろう)
 1956年神戸商船大学航海科を卒業し、同大学の助手、次いでニューヨーク大学気象学・海洋学科助手を務める。1967年ニューヨーク大学大学院博士課程修了。博士(Ph.D.)。神戸商船大学助教授、教授、学生部長を経て、1992年より学長。1998年より名誉教授。専門分野は、波浪予報、海洋気象学。論文‘On the Growth of the Spectrum of a Wind Generated Sea According to a Modified Mile-Phillips Mechanism and its Application to a Wave Forecasting’はじめニューヨーク大学での波浪予報の研究成果
は「ブリタニカ百科事典」にも紹介され、日本を含め世界の波浪予報の原型となっている。元海洋気象学会会長、英国王立地理学協会フェロー。
※ 執筆者の称号は「神戸商船大学名誉教授」とあるが、「神戸商船大学」はその後「神戸大学海事科学部」に改組された。しかし「名誉教授」の称号は、授与された当時の大学名称とともに使用されるので、本件記載が正しい。

水成 剛 (みずなり たけし)
 1999年海上保安大学校卒。海上保安庁に入庁し、航海科職員として巡視船での現場業務及び本庁情報通信課での業務を経て、2013年退職。2014年より(公社)日本海難防止協会海洋汚染防止研究部主任研究員となり現在に至る。IMOでの環境関連委員会等への参加の他、油濁事故発生時に備え沿岸地形等を調査し地図化する「沿岸域環境情報マップ」の作成、港内における危険物の取扱を検討する港則法危険物検討業務に携わっている。また、砕氷船への乗船経験からの氷海・北極海関連分野、海洋・宇宙連携分野等幅広い分野に携わっている。日本海洋政策学会所属。

大貫 伸(おおぬき しん)
 東京商船大学航海科卒業。1980年山下新日本汽船(株)(合併によりナビックスライン(株)を経て、現在の(株)商船三井)入社、航海士拝命。1994年日本海難防止協会出向。1998年ナビックスライン(株)退社、日本海難防止協会勤務。2009年研究統括本部部長。油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画「国内の各種分野の専門家(油防除技術/国土交通省総合政策局推薦)」。日本環境災害情報センター会長。台湾行政院アドバイザーや各種委員会委員等を歴任。海洋環境保全・海難防止・沿岸域環境脆弱性指標図・極海運航実務等が専門。日本航海学会に所属。山縣記念財団評議員。

永岩 健一郎(ながいわ けんいちろう)
 2003年東京商船大学大学院商船学研究科博士後期課程修了。広島商船高専助教授を経て、現在同校流通情報工学科教授。博士(工学)。専門分野は、ロジスティクス(モーダルシフト、内航海運)。最近では、労働力不足とモーダルシフトの問題、内航フィーダー船の利用拡大や離島における買い物弱者対策について関心をもつ。近年の論文としては、「国際フィーダー航路の集貨力に関する基礎研究」、「西日本におけるインランドデポの配置に関する研究」、「買物弱者対策としての移動販売車の販売経路に関する基礎研究」、「内航コンテナ輸送の拡大に関する一考察」(当誌第63集、2014年、共著)などがある他、『交通と物流システム』、『内航海運』などの共著作がある。2003年日本航海学会賞、2007年物流学会賞受賞。日本物流学会、日本航海学会、日本海運経済学会、内航海運研究会所属。

大河内 美香(おおこうち みか)
 1999年パリ大学法学部第3課程(DSU)卒業、2000年東京都立大学大学院博士後期課程単位取得退学。修士(法学、立教大学)、高等研究学位(国際法、パリ大学)。現在東京海洋大学学術研究院海洋生命科学系海洋政策文化学部門准教授。研究分野は、国際法・海洋法・海上安全・テロ対策・大陸棚。主要論文に「国際関心事項及び国内管轄事項としての検疫の位置―国際機関と国家の権限の整序―」(江藤淳一編『国際法学の諸相―到達点と展望―』、信山社、2015年)、感染症の制御における海港検疫と海運の位置─海上交通の安定を視座として─(当誌第64集、2015年)がある。国際法学会、日本海洋政策学会、日本航海学会に所属。

南 健悟(みなみ けんご)
 静岡大学人文学部法学科卒業後、北海道大学大学院法学研究科法学政治学専攻博士前期課程及び後期課程を修了し、小樽商科大学商学部企業法学科准教授を経て、2017年日本大学法学部法律学科准教授に就任。博士(法学)。早稲田大学海法研究所招聘研究員。研究テーマは、会社法における労働者の地位の研究、船舶衝突法・海上労働法の研究。主要論文に、企業不祥事と取締役の民事責任(一~五・完)―法令遵守体制構築義務を中心に」、「違法停泊船と航走船との衝突に関する一考察」(当誌第61集、2012年)、「改正船員法の概要と論点―船員概念及び船長に対する労働時間規制の検討を中心に」、「港湾施設の損傷と港湾利用者の法的責任に関する一試論」(当誌第63集、2014年)がある。所属学会は、日本海法学会、日本私法学会、日本航海学会、日本労働法学会。

下山 憲二(しもやま けんじ)
 関西大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得後退学。修士(法学)。高知短期大学(准教授)を経て、2015年海上保安大学校准教授に就任。政策研究大学院大学連携准教授も併任。専門は、国際法(海洋法)、研究テーマは海洋の科学的調査、船舶の通航権。主要論文に、「海洋環境保護を理由とする無害通航の規制―沿岸国による海洋環境保護措置の拡大を中心に-」、「排他的経済水域におけるMilitary Surveyに関する一考察―国連海洋法条約第13部における海洋の科学的調査との相違をめぐって-」、「200海里を超える大陸棚における海洋調査活動―国連海洋法条約第246条6項が提起する問題―」がある。国際法学会、防衛法学会、日本海洋政策学会に所属。

マリレイア・フランコ・マリーニョ・イノウエ (Marileia Franco Marinho Inoue)
E-mail: marileiainoue@gmail.com.
 イノウエは日系人だった夫(故人)方の姓で、本人は日系ではない。小学生のとき、太平洋戦争の直前に日本に留学した同郷人の著作を読んで日本に関心を持った。ブラジル連邦立リオ・デ・ジャネイロ大学(UFRJ)修士(社会事業)、サン・パウロ大学博士(社会学)。現在、UFRJ 准教授(社会事業)。研究対象は社会的少数者・弱者。「ブラジルの日本人移民:軌跡、想像、記憶」(Imigrantes Japoneses no Brasil: Trajetória,Imaginário e Memória)サン・パウロ大学 2010年(共著)など、日系移民に関する著書や論文がある。特に1910年頃に活躍した山縣勇三郎や1930年代末の水力発電所建設など、リオ・デ・ジャネイロ州の日系移民を専門領域としている。イシブラスはその延長線上にある。

米田 清(よねだ きよし)
E-mail: yoneda@fukuoka-u.ac.jp.
 リオ・デ・ジャネイロで小学生だったときにイシブラス第1船の進水式を見学して同社に関心を持った。早稲田大学卒業(工業経営)、同修士(数学)。ブラジル国立宇宙科学研究所(INPE)修士(システム分析)。(株)東芝在職中に早稲田大学博士(工学)。1999年より福岡大学経済学部教授(オペレーションズ・リサーチ)。ベルギーのルーヴァン・カトリック大学客員研究員(サプライ・チェーン・マネジメント、1年間)。ブラジルのカンピナス総合大学 (UNICAMP) 客員教授(生産工学、1年間)。ポーランドの学術誌(DMMS)の編集委員(意思決定)。現在、自律的な主体(人間や自動機械)の行動を逆問題として簡潔に記述する方法とソフトウェアの開発にあたっている。

                                                   (敬称略)

当財団理事 高田富夫著『ロジスティクス管理の方法』が、住田物流奨励賞を受賞

(公財)交通研究協会が実施し、日本貨物鉄道(株)が運営する「第10回住田物流奨励賞」の受賞者が決定し、11月10日飯田橋のホテル メトロポリタン エドモントで表彰式が行われました。

今回の住田物流奨励賞には、当財団の理事である高田富夫氏(流通経済大学流通情報学部教授)の著書『ロジスティクス管理の方法』(2017年3月、当財団発行)が選ばれました。
なお、本書は、既に日本海運経済学会総会で「第26回日本海運経済学会賞」を受賞しており、嬉しいダブル受賞となりました。

本書の内容及び著者高田富夫氏の略歴については、こちらをご覧下さい。

本書に関するお問合せ、入手申込みの方は、下記までe-mail又はお電話にてご連絡下さい。

 一般財団法人 山縣記念財団
 TEL: 03-3552-6310
 E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp

「第45回我ら海の子展」を後援しました。

「第45回我ら海の子展」(主催 一般財団法人サークルクラブ協会、公益社団法人日本海洋少年団連盟)の授賞式が2017年8月18日ホテル・ニューオータニ(東京)にて開催され、当財団は後援団体として参加しました。
全国の中学生、小学生、幼児から5,026点の応募がありました。
その内、国土交通大臣賞2作品(中学生の部、小学生以下の部)はじめ、主催者、後援者、個人審査員による特別賞、金賞、銀賞並びに東日本大震災を機に創設された「がんばろう日本賞」の合計130作品に各賞が贈られました。

(※以下の写真をクリックすると、拡大画像が表示されます。)

1.集合写真

「第45回我ら海の子展」授賞式後の集合写真
2017.8.18 於ホテル・ニューオータニ(東京)


山縣記念財団理事長賞には北海道の中学2年生、中山 留位(なかやま るい)さんの絵画「苫小牧埠頭」が選ばれ、当財団郷古理事長より中山さんに賞状が贈られました。

2.作品  

3.授与

 


 
今後、受賞作品展示発表会が全国を巡回予定です。
展示会の日程は、以下の通りです。
・ 8月 4日(金)~ 8月29日(火) 銀座ギャラリー(東京メトロ銀座駅・日比谷駅間の地下通路)
・ 9月 4日(月)~ 9月15日(金) 国土交通省 1階ロビー(平日のみ)
・ 9月30日(土)~11月23日(木・祝) アクアマリンふくしま(福島県いわき市小名浜字辰巳町50)
・ 11月28日(火)~12月17日(日) 氷川丸(横浜市中区山下町山下公園地先)
・ 2018年開催予定 海の科学館(香川県琴平町)、晴海客船ターミナル(東京都)

 

夏季休業のお知らせ

2017年8月14日、15日を夏季休業日とさせて頂きます。

2017年山縣勝見賞贈呈式開催

 当財団が海事交通文化の研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰するために、2008年に創設した「山縣勝見賞」は本年第10回目を迎え、7月20日(木)「2017年山縣勝見賞」の贈呈式を、海運クラブにて開催致しました。

「2017年山縣勝見賞」贈呈式における受賞者記念撮影 2017年7月20日 於海運クラブ
左から國領英雄氏(功労賞)、若土正史氏(論文賞)、西崎ちひろ氏(論文賞)、木原知己氏(著作賞)
(写真をクリックすると大きくなります。)

 受賞者、受賞者略歴、受賞理由は以下の通りです。

≪著作賞≫

木原知己著『船舶金融論-船舶に関する金融・経営・法の体系-』
 (海文堂出版2016年5月刊)

受賞者略歴:
 1984年九州大学法学部法律学科卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。主として船舶融資を担当し、営業第八部長、高松支店長を最後に同行退職。2005年に都内金融機関に入行し、船舶金融チームを立ち上げる。2011年、青山綜合会計事務所顧問に就任。その後、パートナーを経て 現在は同事務所海事スーパーバイザー。船主向け経営コンサルティングの傍ら、ファイナンスアレンジなどに従事する。現在、早稲田大学大学院法学研究科非常勤講師(船舶金融法研究)、センチパートナーズ(株)代表取締役、海事振興連盟三号会員などを務める。

受賞理由:
 船舶の建造あるいは購入にかかる必要資金を供給する「船舶金融」に関連する事項について、金融機関や会計事務所、並びに早稲田大学大学院法学研究科非常勤講師(「船舶金融法」講座担当)等の経験を通して会得した知見をもとに、1)金融論、2)船主経営論、3)法との接点といった論点も踏まえ、金融サイド・船主サイド両面から、網羅的、体系的、客観的、多面的、実用的に解説した本書は、「船舶金融分野におけるバイブル」ともいえる。

 

≪論文賞≫

西崎ちひろ著「見張り作業における操船者の状況認識と見張り支援に関する研究」
(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科応用環境システム学専攻 博士学位論文2016年3月工学 課程博士)

受賞者略歴:
 東京海洋大学海洋工学部商船システム工学課程航海学コース卒業(卒業論文「レーダ画像処理による船舶映像の抽出に関する研究」、卒業時に海洋会賞を受賞)。同大学大学院(海洋科学技術研究科海運ロジスティクス専攻)修士課程(修士論文「レーダ画像処理による船舶の捕捉追尾に関する研究」)、独立行政法人海上技術安全研究所(現在の国立研究開発法人海上・港湾・航空研究所)勤務を経て、2016年3月今回受賞の論文により東京海洋大学博士(工学)を取得。又、日本航海学会英文論文誌”Transactions of Navigation Vol.1, No.1”(2016年3月)掲載の論文’Quantifying the Severity of Marine Collision Accidents Caused by Human Factors’により、竹本孝弘氏とともに2015年度日本航海学会論文賞を受賞。2016年東京海洋大学助教就任。
 
受賞理由:
 海難の中で最も多く発生している衝突海難の原因の8割を占める「ヒューマンエラー」について理解し、それらを抑制するために、これらヒューマンエラーの背後にある様々な要因も含めた対策として、操船者の行動分析、SAGAT(Situation Awareness Global Assessment Technique)を用いた状況認識の計測・分析、人間信頼性解析手法CREAM(Cognitive Reliability Error Analysis Method)を用いた操船者エラーの背後要因整理などによって、対策を提案した手法は評価できる。

 

≪論文賞≫
若土正史著「大航海時代におけるポルトガル「インド航路」の海上保険の活用について」
(神戸大学大学院経済学研究科経済学専攻 博士学位論文 2016年3月 経済学 課程博士)

受賞者概要/略歴:
 1973年 関西学院大学商学部卒業後、東京海上火災保険(株)入社。本社各部や支店営業に従事。この間、関西学院大学大学院商学研究科MBA取得。東京海上日動あんしん生命(株)LP営業部長等を経て退職後、神戸大学大学院経済学研究科博士課程前期課程ののち後期課程(専攻:中近世日本経済史)に進み、2013年3月から1年間ポルトガルを中心に海上保険史を調査研究のためポルトガル・コインブラ大学に visiting scholarとして留学。その後も度々渡航して、ポルトガル及びスペインの古文書館に眠る保険史料を解読。2016年3月今回受賞の論文にて、神戸大学博士号(経済学)を取得。2016年12月より同大学海事科学部非常勤講師(海上保険論)。
 

受賞理由:
 本研究は、今日の様々な保険の源流ともいうべき「海上保険」の生成史について論究したもの。具体的な取引事例を大航海時代のポルトガルとしたのは、わが国の戦国時代から江戸時代にかけ、ヨーロッパ人との交易取引の中で、海上保険の原型である「海上貸借」(通称「投銀」(なげがね))という制度が活用されており、当時のポルトガルの海上保険制度との関連に興味が沸いたため。ポルトガル・インド航路の関連史料は、リスボン大震災(1755年)の影響でほとんど消失しているため、ポルトガルの隣国スペインのブルゴス市の古文書館で発見された15件の海上保険契約取引史料から当時の取引実態を解明したが、これまで同史料を使った同テーマに関する先行研究は見当たらず、画期的な研究と言える。これにより、インド航路と日本航路における海上保険分野での連続性について証明されたのを契機に、日本の海上保険史研究の新たな重要研究課題となることを期待する。

 

≪功労賞≫
國領英雄氏

受賞者略歴:
 1933年生まれ。京都大学経済学部卒業。同大学文学部史学科卒業後、(社)日本海運集会所に入所し、仲裁業務に従事。1975年同所を退職して、神戸商船大学商船学部助教授に就任。その後同大学教授を経て、大阪学院大学流通科学部教授に就任。この間、日本海運経済学会副会長、日本港湾経済学会常任理事などわが国学会の要職に就く。又、(財)関西交通経済研究センターの調査研究委員会および近畿運輸局設置の検討会等の委員長や座長を務め、1990年には第50回海の記念日・近畿運輸局長表彰を受ける。現在、神戸商船大学名誉教授、大阪学院大学名誉教授。

受賞理由:
 京都大学経済学部で佐波宣平教授の指導を受け、更に同大学文学部において西洋中世史を専攻。若き日の(社)日本海運集会所での仲裁業務の経験を出発点として、氏の研究領域は海運から物流、港湾、航空等多岐に亘っている。海運だけをとりあげても、企業財務、金融、景気変動、密度の経済学、ネットワーク、法の経済学、市場、労働、バルク、クルーズ、フェリー、外国海運政策、内航海運等、広い範囲にわたる研究成果が残されている。
 常に新鮮な目で海運の今日的課題に向き合って研究を重ね、学会の発展と有為な人材の育成に尽力してきた氏の長年の努力と情熱に敬意を表するものである。

 

≪特別賞≫
 該当者なし

 

                                                       以上

当財団理事長に郷古達也、理事に久下浩一就任

当財団理事長 小林一夫(こばやし かずお)は6月15日付を以って退任して顧問に就任し、同日付にて郷古達也(ごうこ たつや)が後任の理事長に就任致しました。
又、7月1日付にて、久下浩一(くげ こういち)が新たに理事に就任致しました。
これに伴い、財団案内-役員・評議員・研究員のページを更新しました。

2017年山縣勝見賞受賞者決定

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果(著作・論文)や業績を対象として表彰する制度を発足しましたが、このほど「2017年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します(敬称略)。
 なお受賞者への贈呈式は7月20日(木)海運クラブにて行います。

≪著作賞≫

木原知己著『船舶金融論-船舶に関する金融・経営・法の体系-』
 (海文堂出版2016年5月発行)

受賞者略歴:
 1984年九州大学法学部法律学科卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。主として船舶融資を担当し、営業第八部長、高松支店長を最後に同行退職。2005年に都内金融機関に入行し、船舶金融チームを立ち上げる。2011年、青山綜合会計事務所顧問に就任。その後、パートナーを経て 現在は同事務所海事スーパーバイザー。船主向け経営コンサルティングの傍ら、ファイナンスアレンジなどに従事する。現在、早稲田大学大学院法学研究科非常勤講師(船舶金融法研究)、センチパートナーズ(株)代表取締役、海事振興連盟三号会員などを務める。

受賞理由:
 船舶の建造あるいは購入にかかる必要資金を供給する「船舶金融」に関連する事項について、金融機関や会計事務所、並びに早稲田大学大学院法学研究科非常勤講師(「船舶金融法」講座担当)等の経験を通して会得した知見をもとに、1)金融論、2)船主経営論、3)法との接点といった論点も踏まえ、金融サイド・船主サイド両面から、網羅的、体系的、客観的、多面的、実用的に解説した本書は、「船舶金融分野におけるバイブル」ともいえる。

 

≪論文賞≫

西崎ちひろ著「見張り作業における操船者の状況認識と見張り支援に関する研究」
 (東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科応用環境システム学専攻 博士学位論文2016年3月工学 課程博士)

受賞者略歴:
 東京海洋大学海洋工学部商船システム工学課程航海学コース卒業(卒業論文「レーダ画像処理による船舶映像の抽出に関する研究」、卒業時に海洋会賞を受賞)。同大学大学院(海洋科学技術研究科海運ロジスティクス専攻)修士課程(修士論文「レーダ画像処理による船舶の捕捉追尾に関する研究」)、独立行政法人海上技術安全研究所(現在の国立研究開発法人海上・港湾・航空研究所)勤務を経て、2016年3月今回受賞の論文により東京海洋大学博士(工学)を取得。又、日本航海学会英文論文誌”Transactions of Navigation Vol.1, No.1”(2016年3月)掲載の論文’Quantifying the Severity of Marine Collision Accidents Caused by Human Factors’により、竹本孝弘氏とともに2015年度日本航海学会論文賞を受賞。2016年東京海洋大学助教就任。
 
受賞理由:
 海難の中で最も多く発生している衝突海難の原因の8割を占める「ヒューマンエラー」について理解し、それらを抑制するために、これらヒューマンエラーの背後にある様々な要因も含めた対策として、操船者の行動分析、SAGAT(Situation Awareness Global Assessment Technique)を用いた状況認識の計測・分析、人間信頼性解析手法CREAM(Cognitive Reliability Error Analysis Method)を用いた操船者エラーの背後要因整理などによって、対策を提案した手法は評価できる。

 

≪論文賞≫

若土正史著「大航海時代におけるポルトガル「インド航路」の海上保険の活用について」
 (神戸大学大学院経済学研究科経済学専攻 博士学位論文 2016年3月 経済学 課程博士)

受賞者略歴:
 1973年 関西学院大学商学部卒業後、東京海上火災保険(株)入社。本社各部や支店営業に従事。この間、関西学院大学大学院商学研究科MBA取得。東京海上日動あんしん生命(株)LP営業部長等を経て退職後、神戸大学大学院経済学研究科博士課程前期課程ののち後期課程(専攻:中近世日本経済史)に進み、2013年3月から1年間ポルトガルを中心に海上保険史を調査研究のためポルトガル・コインブラ大学に visiting scholarとして留学。その後も度々渡航して、ポルトガル及びスペインの古文書館に眠る保険史料を解読。2016年3月今回受賞の論文にて、神戸大学博士号(経済学)を取得。2016年12月より同大学海事科学部非常勤講師(海上保険論)。

受賞理由:
 本研究は、今日の様々な保険の源流ともいうべき「海上保険」の生成史について論究したもの。具体的な取引事例を大航海時代のポルトガルとしたのは、わが国の戦国時代から江戸時代にかけ、ヨーロッパ人との交易取引の中で、海上保険の原型である「海上貸借」(通称「投銀」(なげがね))という制度が活用されており、当時のポルトガルの海上保険制度との関連に興味が沸いたため。ポルトガル・インド航路の関連史料は、リスボン大震災(1755年)の影響でほとんど消失しているため、ポルトガルの隣国スペインのブルゴス市の古文書館で発見された15件の海上保険契約取引史料から当時の取引実態を解明したが、これまで同史料を使った同テーマに関する先行研究は見当たらず、画期的な研究と言える。これにより、インド航路と日本航路における海上保険分野での連続性について証明されたのを契機に、日本の海上保険史研究の新たな重要研究課題となることを期待する。

 

≪功労賞≫

國領英雄(神戸商船大学名誉教授、大阪学院大学名誉教授)

受賞者略歴:
 1933年生まれ。京都大学経済学部卒業。同大学文学部史学科卒業後、(社)日本海運集会所に入所し、仲裁業務に従事。1975年同所を退職して、神戸商船大学商船学部助教授に就任。その後同大学教授を経て、大阪学院大学流通科学部教授に就任。この間、日本海運経済学会副会長、日本港湾経済学会常任理事などわが国学会の要職に就く。又、(財)関西交通経済研究センターの調査研究委員会および近畿運輸局設置の検討会等の委員長や座長を務め、1990年には第50回海の記念日・近畿運輸局長表彰を受ける。現在、神戸商船大学名誉教授、大阪学院大学名誉教授。
 

受賞理由:
 京都大学経済学部で佐波宣平教授の指導を受け、更に同大学文学部において西洋中世史を専攻。若き日の(社)日本海運集会所での仲裁業務の経験を出発点として、氏の研究領域は海運から物流、港湾、航空等多岐に亘っている。海運だけをとりあげても、企業財務、金融、景気変動、密度の経済学、ネットワーク、法の経済学、市場、労働、バルク、クルーズ、フェリー、外国海運政策、内航海運等、広い範囲にわたる研究成果が残されている。
 常に新鮮な目で海運の今日的課題に向き合って研究を重ね、学会の発展と有為な人材の育成に尽力してきた氏の長年の努力と情熱に敬意を表するものである。

 

≪特別賞≫
該当なし

                                                       以上

高田富夫著『ロジスティクス管理の方法』発行

 3月30日、当財団理事 高田富夫氏(流通経済大学流通情報学部教授)執筆による『ロジスティクス管理の方法』を発行し、海事関係団体・企業・図書館・研究者などに配本しました。関心をお持ちの方、お読みになりたい方は、下記までe-mail又はお電話にてお問合せ下さい。

 一般財団法人 山縣記念財団
 TEL: 03-3552-6310
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp


本書目次

    はしがき

    第1章 ロジスティクスの源流と発展
     はじめに
     Ⅰ ロジスティクスの源流域
     Ⅱ 戦争とロジスティクス
     Ⅲ ビジネス・ロジスティクスの成立と発展
     Ⅳ ソーシャル・ロジスティクスの成立と発展
     本章のまとめ

    第2章 ロジスティクスとSCM
     はじめに
     Ⅰ ジャスト・イン・タイムと部材必要量計画
     Ⅱ 経営管理概念とITツール:発展の系譜
     Ⅲ SCMとプロセス参照モデル
     Ⅳ SCMのイネーブラ
     Ⅴ SCMの課題
     本章のまとめ

    第3章 物品の属性とロジスティクス系
     はじめに
     Ⅰ 物品のロジスティクス特性
     Ⅱ ABC分類とパレートの法則
     Ⅲ ロジスティクス費用の構造
     Ⅳ 物品の属性とロジスティクス費用
     本章のまとめ

    第4章 顧客満足とロジスティクス・サービス
     はじめに
     Ⅰ ロジスティクス・サービスの効果
     Ⅱ 顧客満足とロジスティクス
     Ⅲ サービス水準の最適化
     Ⅳ ロジスティクス系崩壊への対応
     本章のまとめ

    第5章 在庫管理の理論
     はじめに
     Ⅰ ロジスティクスにおける在庫の形態と機能
     Ⅱ 顧客満足と在庫補充
     Ⅲ 確実性条件下の在庫管理モデル
     Ⅳ 不確実性条件下の在庫管理
     Ⅴ 在庫一括管理
     本章のまとめ

    第6章 輸送管理の方法
     はじめに
     Ⅰ 輸送手段の最適化
     Ⅱ 輸送経路の最適化:基本型
     Ⅲ 輸送管理の最適化:発展型
     本章のまとめ

    第7章 立地決定の方法
     はじめに
     Ⅰ 一般的な立地決定要因
     Ⅱ 立地理論の史的系譜
     Ⅲ 単独施設の立地モデル
     Ⅳ 複数施設の立地モデル
     本章のまとめ

    第8章 需要予測の方法と課題
     はじめに
     Ⅰ 各種の予測手法
     Ⅱ 指数平滑法
     Ⅲ 時系列分析法
     Ⅳ 産業連関モデルによる予測
     Ⅴ 需要予測の課題と対応
     本章のまとめ

    あとがき


「はしがき」より

 著者がロジスティクスに関心をもち、大学で講義を始めるようになったのは90 年代後半のことである。それまでは海運を中心とする国際貨物輸送の研究に経済学の視点から取り組んできた。実は日本海運に成長の限界が見え始め、その限界を打破するための方策を考える必要に迫られたことが、ロジスティクス研究に傾斜していくきっかけであった。
 先の大戦で保有船腹のほとんどすべてを失った日本海運は、日本経済を支える基幹産業として国からの手厚い助成のもとで発展を続け、高度経済成長末期には世界最大の船腹を保有するまでに規模を拡大した。重厚長大産業の発展に引っ張られる形での規模の拡大であった。
 日本経済が絶頂期を迎えた80 年代後半、すでに日本海運は勢いを失い始めていた。その主因は為替相場と賃金上昇、技術優位の喪失にあった。輸送技術に関しては、配乗船員数を極端なまでに削減したパイオニア船や超高速貨物船のテクノスーパーライナーの研究が一部で進んだものの、新技術の実用化が難しく、結果として新しい技術が生まれないまま旧来の技術が使われ続けた。その一方で先進国からの技術導入が進んだ後発国は競争力を強めていった。そして90 年代日本経済のバブルは崩壊した。そこに新たな成長エンジンとして期待が高まったのがIT と一体となったロジスティクスであった。ロジスティクスは船舶に係る輸送技術ではなく、新しいビジネスモデルとしての経営管理法に係る経営ソフトとしての技術である。海運企業が情報技術を駆使して注目を集め始めていたこの分野に進出することによって、再び成長軌道に乗ることができるものと期待したのである。
 しかしロジスティクスに取り組むその後の道程はけっして平坦でなかった。視点と方法が交通経済学とは大きく異なっていたのである。もっとも大きな違いは主体が違う点である。それまでの運送事業者から荷主の視点への転換が必要であった。そして運送事業者が関わるのはロジスティクスそのものではなく、一般企業の負託を受けて行うロジスティクスすなわち3PL事業である。それには経済学のみならず経営学、マーケティング論、会計学、数理計画法、そしてコンピュータ・サイエンスなどの諸分野の知見を総動員した真に学際的な視点が必要であった。
 わが国でも物流やロジスティクスに関する著作はこれまでにも数多く公刊されてきた。多くは実務書である。これらは大学の研究者がロジスティクスの実際を知る上でおおいに参考になる。ただ上に述べたロジスティクスの全体像や他領域との関連性を明確化したものは少ない。それと同時に研究者が好む学術的、理論的文献も散見される程度で、それほど多くない。いわんやロジスティクス情報処理に関連した文献でそれを専門としない人々にも有用性の高い文献となるとその数は少ない。
 かつては特別な訓練を受けた専門家だけに利用が許されたコンピュータがパソコンとして個人や家庭で利用できるようになって社会の隅々にまで普及したように、現代のロジスティクス思想を世に広く伝えるためには、専門としない人々にも理解しやすい形でロジスティクスを提示する必要がある。ただ忘れてならないのは、斯学の学問体系そのものをきちんと整理しておくことである。本書の意図はこうした点にもある。

 本書は学部および大学院で行ってきたロジスティクス論の講義内容をベースに、講義では触れなかったロジスティクス管理のより進んだ内容を追加して、ロジスティクス論を体系化して著わしたものである。
 さてロジスティクスには三つの顔がある。一つには軍事面での後方支援活動、二つには企業の経営管理活動、そして三つには環境保全や自然ないし人為的なディザスターに備える社会的活動である。言い換えればロジスティクスはミリタリー系、ビジネス系、ソーシャル系の三分野に分類することができる。各分野は根底において輸送、保管、在庫(備蓄)といった共通の課題をもっているが、それぞれに固有の課題も少なくない。本書は書名にある通り、製造業や流通業のロジスティクスを取り上げて企業の経営管理活動としてのビジネス・ロジスティクスについて論ずるものであり、とりわけ管理の方法について多くの紙幅を割いている。
 ロジスティクス管理の機能はバルー(Ballou, R.M.)がロジスティクス・トライアングルの各辺に立地戦略、輸送管理、在庫管理を割り当て、トライアングルの中心に受発注管理を配置して管理の全体像を示している。本書でも基本的にバルーの所説に従って管理の内容を区分し、各章で順次取り上げている。

 ここで本書の概要に触れておこう。本書は八つの章から構成されている。第1章から第3章までがロジスティクス論の導入部分であり、第4章から第8章までがロジスティクス管理に関わる部分である。導入部分ではロジスティクスに関連した諸概念を整理することに主眼を置いている。概念規定のあいまいさから、議論が混乱してしまう状況が今もなお見受けられるからである。以下、章を追ってその概要を紹介する。
 まず第1章「ロジスティクスの源流と発展」である。この章の主眼はロジスティクスの源流を探り、現在にいたる進化の過程をたどることにある。語源からロジスティクスの起源をミリタリー系にあるとして、軍事戦略におけるロジスティクスの位置をはじめて明確化した軍事理論家アントワーヌ・ジョミニに言及する。また、車も飛行機も鉄道もない古代オリエントの時代から現代にいたるまでの戦いの歴史を通して、ロジスティクスの軍事的意味について考察する。
 つぎにビジネス・ロジスティクスを取り上げる。ここでは企業内諸部門の統合という観点からサプライチェーン・マネジメントにいたるまでの系譜をたどる。この分野での学術的研究は20 世紀初頭までさかのぼる。当初は流通やマーケティングの中で物品の輸送や保管が論じられ、第2次世界大戦後にスミケイ&バワーソックスによる本格的な物流書やドラッカーの論文「経済の暗黒大陸」などを経て今世紀にいたる発展の経過を振り返る。
 この章の最後でロジスティクスの三大分野の中でもっとも新しいソーシャル系を取り上げる。高度経済成長下の経済至上主義に異を唱える論拠として社会的費用への関心が高まったのがソーシャル系ロジスティクスのはじまりである。当初はロジスティクスないし物流と直接関連させたものではなく旅客輸送に重点が置かれていたが、現在では循環型社会の実現や突発事態への対応など、サステナビリティーとヒューマニタリアンのためのロジスティクスに重点が移っている。
 第2章「ロジスティクスとSCM」では、ロジスティクスとひじょうに近い概念であるジャスト・イン・タイムや部材必要量計画、サプライチェーン・マネジメント(SCM)などの経営管理概念と、IT ツール発展を時間的な流れに沿って体系化して述べる。さらにサプライチェーンの機能や業務プロセスを把握・分析して適切なSCM を導入するためのSCM 業務参照モデルの概要について述べる。SCM はコンピュータのソフトウェア・システムを指すこともあることから、そのシステム構造に解説を加える。SCM システムの一翼を担うロジスティクス情報システムにも言及する。このソフトウェア・システムの各モジュールはロジスティクス管理の内容を示すものに他ならない。
 顧客との力関係や企業間関係など、SCM 導入の成否に影響する重要な要因=イネーブラと導入を阻害する要因についても触れる。とくに阻害要因として情報共有への不安、企業文化の違い、そして規制緩和政策とグローバリゼーションを挙げて論ずる。
 第3章「物品の属性とロジスティクス系」では物品のさまざまな属性がロジスティクス系に与える影響について考える。まず多様な物品を分類して、物品の種別によるロジスティクス系の特徴を明らかにする。つぎにマーケティングの分野でもよく使用されるプロダクト・ライフサイクルの概念を取り上げ、ライフサイクルの各局面にふさわしいロジスティクス系について考察する。マーケティング論でもよく目にするパレートの法則も取り上げ、ABC 商品分類から見た適切なロジスティクス系について述べる。さらにはパレート曲線を近似する特別な関数ならびにシグモイド関数のパラメータ推定にも言及する。
 Ⅲ節では基本的なロジスティクス費用概念を整理して示し、物品の属性とロジスティクス費用の関係を明確にする。ビジネス・ロジスティクスは利益追求を第一の目的とするから、費用の大きさはきわめて重要な関心事である。これまでロジスティクス費用全体の大きさに注目が集まり、費用を細かな費目に細分化して行う詳細な分析は手薄であった。こうした状況に鑑みて費用の細分化と費用削減の可能性を探るとともに、物品の諸属性とロジスティクス費用との関係を明確にする。
 第4章以下はロジスティクス管理に関連する部分である。まず第4章「顧客満足とロジスティクス・サービス」ではマーケティングから生まれた概念である顧客サービスと顧客満足を取り上げる。まず冒頭で物品の経済的効用=価値創造の源泉を考察し、ロジスティクスとマーケティングのきわめて密接な関係を指摘する。そしてロジスティクス・サービス水準と売上げの関係からロジスティクス・サービス水準には最適水準があることを述べる。
 つぎのⅡ節では物品・情報の流れとオーダー・フルフィルメント作業の流れを詳述し、輸送・保管などを包含した複合サービスとしてのロジスティクス・サービスの何たるかを示して、重視すべき顧客満足要因を解明する。Ⅲ節ではリードタイムを分解し、注文サイクルを構成する一連の作業工程を示す。注文サイクルの工程には注文の伝達、物流センターにおける注文処理(注文エントリーと出荷準備)、配送などがあり、各工程の所要時間が注文サイクルと注文頻度に影響することを示す。
 物流の定石ともいえる多頻度物流はこの注文サイクルの長さを短く設定するものである。少量多頻度物流は一般に在庫費用を削減するが、道路混雑や地球温暖化などの環境対策からこれを見直す気運も出ている。物流頻度はコストとトレードオフの関係にあるから、多頻度化を際限なく推し進めればよいというものでもない。最適な物流頻度がある。この章ではそのような最適頻度を見つけるための限界分析と損失関数最小化法にも言及する。
 第5章「在庫管理の理論」では、複数の商品需要変動パターンのなかからそのとき限りで発生する単発型と変動しながらも長期にわたって発生し続ける永続型を対象として考察する。はじめに需要変動とリードタイムを既知とする確実性条件下の在庫管理モデルについて述べる。単発型需要を持つ商品にたいしては限界分析によって最適残品率を理論化し、長期永続型需要を持つ商品に対してはハリスモデルによる最適発注量と発注サイクル、発注点を定式化する。
 つぎに自律型在庫管理の発展型である不確実性モデルを取り上げる。不確実性モデルには定量発注法(発注点法)と定期発注法がある。定量発注法については需要が不確実な場合や、欠品費を既知として応需率を特定する必要のない場合、端境期の需要量および端境期間の長さを未知とした場合という三つのケースにおける確率論的在庫管理法について述べる。不確実な需要においては、需要変動とリードタイムを未知としたうえで、所定の応需率を達成するのに必要な最小在庫量を求める。定期発注法では定量発注法との相違点や特徴を比較するとともに、単一商品発注と複数商品一括発注における発注量決定方法について述べる。発注サイクルや在庫費などの算定モデルにも言及する。
 第6章「輸送管理の方法」では、はじめに輸送時間と在庫費だけに限定したロジスティクス費用を最小化する輸送手段選択の考え方を示す。この考え方は輸送手段によって在庫量や在庫維持費が異なってくることに着目するものである。ベンダー間の市場競争が納品時の輸送手段選択に与える影響についても述べる。つぎに輸送経路最適化について基本型と発展型に分けて述べる。基本型では2 地点間の最適輸送経路(ダイクストラ法)、巡回集配(ミルクラン)における最適輸送経路、そして複数の発地と着地がある環境の下で輸送量を各ルートに最適配分する輸送貨物のOD 間最適配分という三つの問題を取り上げる。
 輸送管理の発展型では、はじめに巡回スポットのクラスター化と巡回順序決定に関する経験則について述べる。ヒューリスティックな経路最適化法として巡回スポット数がある程度多くなっても手動計算可能な掃出法と、現実の多くの制約条件に対応できるセービング法を取り上げ、具体的な計算事例を示して解説する。輸送管理において重要な業務である保有フリート規模(車両や船舶の数)の最適化と保有フリートのルート割当のためのハンガリアン法に言及する。最後にトランシップメント(積み替え)やハブ&スポーク輸送システムで重要な輸送貨物のコンソリデーションを取り上げる。
 第7章「立地決定の方法」では、はじめに倉庫や工場の立地に影響する一般的な要因として自然条件、人口動態、輸送環境、産業クラスターの四つを取り上げて、総論的に立地問題を考える。つぎにチューネン、ウェーバー、フーバーに見られる黎明期立地理論を概観する。理論的な考察に入って、まず多様な立地問題を施設と解法の面から分類する。
 立地決定モデルは単独施設と複数施設のケースに分けて考察することができる。単独施設立地決定は直線型モデル、ユークリッド型モデル、グリッドモデル、加重因子モデルを取り上げ、それぞれの理論的背景を明らかにする。ユークリッド型モデルは微積分法によって最小距離立地点を求めるものであり、グリッドモデルは工場とそこで製造された商品の販売店を固定し、消費量や販売量が既知であることを前提として物流センターの最適立地点を求めるものである。加重因子モデルは立地に係る定性的要因と定量的要因に配慮して、因子分析の結果得られるスコアから数量的に立地点を求める方法である。実態に近い複数施設の立地点を求める方法には大きく分けて厳密解法とシミュレーションモデル、ヒューリスティック法の三つの方法がある。ここでは多元厳密解法とヒューリスティック法としての誘導線形計画法を取り上げて、その基本的な考え方について述べる。
 第8章「需要予測の方法と課題」はロジスティクス管理において予測がひじょうに重要になっていることから設けられたものである。需要の予測如何が在庫の多寡に大きく影響するからである。予測はロジスティクスの分野だけでなく、マーケティングその他の企業内部門に共通した重要事項である。ロジスティクス管理の範囲を越えたテーマといってよい。しかし現代経営におけるサプライチェーン・マネジメントのもっとも大きな目標は在庫の適切な管理による在庫費用の削減にある。在庫の適切な管理の根源は適切な予測にある。
 この章ではまず数多くの予測手法について大まかな概要や適用期間の長さを示して整理する。つぎにこれらの中から比較的手軽に利用できる指数平滑法、時系列分析法(古典的成分分離法とボックス・ジェンキンス法)、産業連関表に基づく予測手法について、実務上の利用を念頭において概観し、予測手法の適切な適用について述べる。とくに指数平滑法はロジスティクス実務の面においてもよく利用されていることから、多くの紙幅を割いて述べる。最後に需要予測に係るロジスティクス固有の課題を取り上げる。

 本書の発行に当たっては一般財団法人山縣記念財団から企画の段階から全面的なご支援をいただくことができた。小林一夫理事長をはじめとして郷古達也常務理事、堀井宣幸理事には荒削りの原稿に幾度となく目を通していただき、細部にいたるまで数多くの有益なご指摘を頂戴することができた。とりわけ郷古常務理事には出版に係る雑多なお世話をいただいた。各氏のご指摘によって本書のクォリティーは格段に改善された。こうした方々のご助力がなければ本書のような基礎的研究書が世に出ることはけっしてなかったであろう。本書に不備や誤りがあるとすれば、それはすべて著者の責に帰すべきことは言うまでもない。
 著者が山縣記念財団と初めて関わりを持たせていただいたのはもう40年以上も前のことになる。当時は山縣記念財団に「海事交通文化研究所」という名称を付して呼ばれていたように記憶する。海運、交通、保険の研究者の育成に力を注いでいた研究所であった。大学院博士課程(今日の博士後期課程)に入ったばかりの私はそこから研究生活をはじめることとなった。爾来さまざまなご支援を賜り、そしてこのたびは本書執筆の機会を与えていただき今日に至っている。山縣記念財団および常勤理事各氏には心よりお礼申し上げる次第である。


著者 高田富夫氏の略歴

1971年 早稲田大学第一商学部卒業

1973年 早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了

1976年 早稲田大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学

1976年 山縣記念財団専任研究員

1978年 名古屋学院大学経済学部専任講師

1997年 早稲田大学博士(商学)

2000年 流通経済大学流通情報学部教授

主な著書
『交通経済学』(翻訳書)晃洋書房、1984年
『商学総論』(共著)晃洋書房、1991年
『海運産業の成長分析』(共著)晃洋書房、1996年

以上

2016年度日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」表彰式に出席しました

2017年3月10日(金)、川崎汽船(株)本社(東京・千代田区)にて、(公社)日本海洋少年団連盟主催の2016年度「褒状山縣賞」表彰式が開催され、当財団から小林理事長が出席しました。

同賞は、同連盟が優秀な団員又は卒団後も引続き海洋少年団員の指導等に当たっている指導者を顕彰するために、同連盟の第3代会長を務めた山縣勝見(当財団創設者、初代理事長)の名を冠し、当財団からの助成を受けて、2010年度から開設したもので、今回は14名の皆さんが受賞されました。

表彰式への出席は内5名で、席上、同連盟の前川弘幸会長(川崎汽船(株)顧問)から挨拶と受賞者への表彰状・バッチの授与があり、続いて当財団小林理事長からも祝辞を送り、記念品として、図書『たいせつなことは船が教えてくれる』(藤沢優月氏著、2012年11月金の星社刊、後記「注」をご参照下さい)を受賞者の皆さんに贈呈しました。

同連盟は、これにより団員の海運、船舶、海洋環境保全等の知識の更なる向上とモチベーションの昂揚を図り、引続き海洋少年団の指導育成に当たる人材を確保し、これらの活動を通じて、全国の少年少女達への海事思想の普及に大きく寄与するとともに、海洋少年団運動の更なる向上を図ることを目指しています。

 

2016年度日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」表彰式

川崎汽船(株)本社にて 日本海洋少年団連盟 前川弘幸会長(前列右)、当財団 小林一夫理事長(同左)を囲んで受賞者記念撮影(クリックすると大きくなります)


 

注:藤沢優月氏著『たいせつなことは船が教えてくれる』:著者(文筆家)が日本郵船のコンテナ船『NYKオルフェウス』に実際に乗船した体験をもとに、若者に対して、働くことの意義、出会い、絆など人が生きる上で大切なことは何か、についてメッセージを送っている青少年向け図書です。

本件参考URL: 日本海洋少年団連盟フェイスブック2017年3月13日投稿記事

『海事交通研究』第66集寄稿論文、「2017年山縣勝見賞」、支援・助成申込みの募集のお知らせ

当財団は、新年1月5日(火)より、以下三事業の募集を致しますので、夫々の募集要領(又は、早見表)をご覧の上、末尾の連絡先宛、是非ご応募・お問合せをお願いします。

1.海事交通研究第66集寄稿論文募集
 当財団は、『海事交通研究』(年報)を1965年(昭和40年)11月に創刊し、海運とその周辺分野に関する最新の研究成果を発表して参りました。

2.2017年山縣勝見賞の募集
 当財団は、2008年に創立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海事交通文化の調査・研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を表彰しております。

3.2017年度補助金助成申込の募集
 当財団は、海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への補助金助成活動を行って参りました。

 

※※※※ 1-1.『海事交通研究』第66集への掲載論文の募集要領 ※※※※

 

1. 募集対象論文 :海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野をテーマとする論文で以下のいずれかでお願いします。

(1)「指定テーマ」:
①日本にとって「海運」とは何か?
 (海運界からだけでなく、荷主や金融機関や他産業の皆様からもご応募下さい。)
②神戸港・大阪港 開港150年
③海運業界の環境対応
 (a. 船舶のCO2 NOx SOx規制問題、b.バラスト水問題、c.省エネ船など)
 
(2)「自由テーマ」:執筆者の希望するテーマ

2. 応募資格者:どなたでも応募出来ます。

3. 応募原稿 :未発表のもので、原則日本語としますが、相談に応じます。共著も可。

4. 容量:A4版縦置き横書き(40字×40行)で10ページ(含・目次・図表・注等)を目安
としますが、最大12ページまでを厳守して下さい。

5. 応募手順:

(1) 以下につき、ご了承の上、ご投稿をお願いします。
①二重投稿・剽窃・自己剽窃とみなされる論文の投稿は不可。
②著書や新聞等の文献から引用した場合及び発想を転用した場合は、出典(著者名・タイトル・発行所名・発行年月等)を明記する。但し、ホームページ上の資料を利用した場合は、URLとアクセスした日付を明記する。

(2) 論文執筆の申請をされる方は、年報掲載論文等執筆申請書(以下申請書という)を
2017年1月5日(木)~3月31日(金)の間に、メール・郵便又はFAXによりお送り下さい。

(3) 当財団の「年報掲載作品編集委員会」が提出された申請書を審査し、年報掲載論文の執筆を応諾するかどうかを4月末までにご連絡致します。

(4) 原稿は2017年8月31日(木)までに、メールに添付して送るか、USBメモリ等記録媒体によりお送り下さい。

6. 提出論文の年報への掲載に際しては、査読(注)を経て、編集委員会での審議にて決定し、10月下旬頃までにお知らせします。発行は、11月下旬~12月上旬の予定です。
(注)査読は、大学または大学に準ずる教育研究機関において教育研究の経験のある者、および民間企業等で実務経験のある者の中で、査読対象の論文の研究分野に精通している者によって行い、①新規性・独創性、②有用性、③信頼性・公平性・客観性、④首尾一貫性、課題達成度、具体的提案、⑤読みやすさを評価項目とします。

7. 原稿料:年報に掲載された論文については、当財団所定の料率にて原稿料をお支払いします。                             
以上

 

※※※※ 1-2.『海事交通研究』第66集への掲載文の募集要領 ※※※※

 

1. 募集テーマ:神戸港・大阪港 開港150年
前ページの論文募集でも、今号の「指定テーマ」と致しましたが、論文以外でも、両港に対する思いなどについて書かれたエッセイ風のものも歓迎します。その他の募集要領は、原則として1-1『海事交通研究』第66集への掲載論文の募集要領に準じる。但し、「掲載文募集」(論文以外)では、「査読」は行いません。
以 上

 

過去の年報掲載論文についてはこちらから


 

※※※※ 2.「2017年山縣勝見賞」の募集要領 ※※※※

 

1. 募集対象分野:海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野をテーマとする著作
(共著も可)、論文並びに業績

2. 募集開始日 :2017年 1月 5日(木)

3. 応募締切日 :2017年 3月31日(金)(当日の消印有効)

4. 賞の種類及び対象 :
  ① 著作賞(30万円) 海事関係の単著又は共著で、2014年1月1日から2016年12月31日までの
            間に発表されたもの。
  ② 論文賞(20万円) 海事関係論文で、上記と同期間に発表されたもの。
  ③ 功労賞(20万円) 海事交通文化の発展に顕著な業績のあった個人。特にその業績の対象
            期間は問わない。
  ④ 特別賞(20万円) 上記三賞に匹敵する功績が認められる個人又は法人並びにその事業

  尚、既に他の学会又は団体などから受賞している場合でも受賞の資格を有するものとします。
 
5. 応募手続 :
  個人・団体の推薦又は自薦によるものとします。応募者は、山縣勝見賞推薦/申請書に当該書籍/論文を1部添付の上、提出して下さい。 (書籍は後日返却します。)
  尚、推薦/申請書のExcelフォームが必要な方、その他詳細についてはお問い合わせ下さい。

6. 受賞者の発表 : 受賞者の氏名等は、2017年6月上旬までに当財団のホームページ、
        その他海事関連のメディアを通じて発表します。尚、受賞者への贈呈式は2017年7月17日の「海の日」の前後に行います。

以上


 

※※※※ 3.2017年度補助金助成申込の募集要領 ※※※※※

 

1. 募集対象分野:海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野の調査研究、その他海事
         の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への補助金助成

2. 募集開始日 :2017年 1月 5日(木)

3. 応募締切日 :2017年 2月28日(火)(当日の消印有効)

4. 補助金額  :
  申請金額の上下限はない(過去の助成最高額は50万円)。 当財団の助成審査委員会及び理事会の審議を経て、補助金額を決定する。

5. 応募条件  :
(1) 2017年4月から2018年3月までに実施する事業であること
(2) 収益を目的とする事業は対象とせず、海事交通文化の振興又は調査研究に関連する事業であること
(3) 既に実施している事業で、その実績が一定の評価を得ているもの、又はこれから実施しようとする事業の場合は、当該事業を実施するための実態的な人材・知見が整い、事業目的が明確に示されていること
(4) 本助成金を利用して活動した後、本助成金の使途に関する事後報告を速やかに行うこと
     
6. 応募手続:
  応募者は、補助金助成申請書(又はこれに代え、募金趣意書など)を送付して下さい。
  尚、申請書のWordフォームが必要な方、その他詳細についてはお問い合わせ下さい。

7. 審査結果の発表:
  助成審査委員会(2017年3月上旬開催予定)により審査し、理事会(2017年3月下旬開催予定)
  に答申。結果(助成可否・補助金額)は、4月上旬までに申請者宛連絡します。

                            
以上

 

【以上三事業の申請書等の送付先・問合わせ先】
一般財団法人 山縣記念財団 
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-10-3 正和ビル5F
TEL:03-3552-6310, FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp