「2014年山縣勝見賞」贈呈式開催
当財団が海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰するために、2008年に創設した「山縣勝見賞」は本年第7回目を迎え、7月24日(木)「2014年山縣勝見賞」の贈呈式を、海運クラブにて開催致しました。
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受賞者、受賞者略歴、受賞理由は以下の通りです。
記
≪著作賞≫
武城正長著『便宜置籍船と国家』 | |
(大阪商業大学比較地域研究所研究叢書第13巻、御茶の水書房、2013年3月発行) | |
受賞者略歴: | |
1942年生まれ。東京商船大学航海科卒業、同専攻科修了、 | |
広島大学政経学部卒業。 | |
山下新日本汽船(株)、広島商船高等専門学校教授、 | |
大阪商業大学総合経営学部教授などを歴任。 | |
受賞理由: | |
本書は便宜置籍船の定義やギリシャ・アメリカやヨーロッパにおけるその形成・発展経緯 | |
について整理し、その意味や現代社会への影響について、多くの資料を元に考察した | |
著者渾身の一冊であり、研究者のみならず海運実務者や現代の海運社会・国際政治・ | |
法規に関心のある全ての人に勧めたい好著であることが認められる。 |
≪功労賞≫
宮下國生氏 |
受賞者略歴: |
1943年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了。 |
神戸大学経営学部教授、流通科学大学商学部教授、大阪産業大学経営学部教授などを |
歴任し、現在、関西外国語大学外国語学部教授、神戸大学名誉教授。 |
受賞理由: |
長年に亘り、我が国の海運・物流・港湾に関する学術研究に尽力され、また、学会に |
おいては日本海運経済学会及び日本交通学会の会長を務めて多くの後進を育てた。 |
数多くの著書や論文を発表し、住田海事奨励賞、日本交通学会賞、日本海運経済学会賞、 |
船員 労働委員会功績に対する運輸大臣表彰、日経・経済図書文化賞並びに藍綬褒章を受賞し、 |
わが国の学界並びに海事行政に多大な貢献をなした。 |
≪特別賞≫
一般社団法人 日本船長協会「子供達に海と船を語る(船長、母校に帰る)」事業 |
受賞団体概要: |
1950年に発足した、船長の経歴を有する者を会員(2003年に日本航海士会を併合し、 |
航海士も会員として構成している)とする団体である。同協会では職務に関連する |
諸問題の調査研究、会誌・図書の発行を行い、海運ならびに海事に関する情報発信、 |
会員相互の親睦と福利増進、社会的地位の向上を図り、その発展に貢献している。 |
今回受賞の対象となった「子供達に海と船を語る(船長、母校に帰る)」事業は、 |
将来の海運の発展を見据え、子供達への海事思想の普及を目的としたプロジェクトである。 |
受賞理由: |
船長が自らの母校や依頼のあった学校(小・中・高)を訪れ、児童や生徒に海や船に |
ついて講演するとともに、関連のビデオ放映、質疑応答などを行い、将来を担う |
子供達に海や船を少しでも知ってもらうことを目的とした本プロジェクトは、2000年、 |
本協会の創立50周年記念事業として開始され、2013年12月までに全47都道府県を回り終え、 |
訪問した学校は130校、児童・生徒数は2万1千人を超えた。子供達の感想文や訪問校 |
の地元新聞記事などを見ても、毎回大きな反響を得、青少年に対する海事交通文化振興 |
に大いに役立っていることが伺える。本活動が一区切りを迎えた機にこれを表彰し、 |
今後の益々の活動の発展を期待する。 |
≪特別賞≫
竹田いさみ著『世界史をつくった海賊』並びに『世界を動かす海賊』 |
(ちくま新書 2011年2月及び2013年5月発行) |
受賞者略歴: |
1952年生まれ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。 |
シドニー大学およびロンドン大学留学。国際関係史で博士号(歴史学)取得。 |
専攻は国際政治(海洋安全保障論)。 |
現在、獨協大学外国語学部教授。 |
受賞理由: |
現代の海運・物流にとって大きな脅威になっている「海賊」が、近代社会成立・発展の |
過程で英国などの覇権国家誕生の原動力になり、国際貿易・金融、多国籍企業といった |
現代に通じるシステムの成り立ちに深く関与していた経緯を述べるとともに、 |
現代社会の中での「海賊」の実態と具体的な対処方法について、現地調査を通して明らか |
にしている。また、海運と国際物流の重要性について業界や海事団体の紹介も交えて |
伝えるとともに、海賊の成立経緯、ソマリア社会の実情、国際社会及び日本政府の対応、 |
更には、民間武装ガードなどの撃退方法や今後のソマリアでの天然ガス開発に際しての |
国際協力などにも言及し、今後の「海賊」問題の解決に向けての処方箋を示していることを |
評価するとともに、海事交通文化の振興に寄与した著作として顕彰したい。 |
なお、論文賞については今回は「該当なし」とします。
本件に関するお問い合わせは、下記へお願いします。
一般財団法人 山縣記念財団 TEL(03)3552-6310