事業目的及び財団設立の趣旨
本財団は、わが国海運事業の活性化を図り、その振興に寄与することを目的とします。
なお、本財団設立の趣旨については、昭和18年6月に発刊された「海事研究年報」第1号において、初代理事長の山縣勝見が、次のように明快に述べています。
“……飜って我国の実情を顧るに、一般国民の海事に関する関心未だ必ずしも深からず、その国家的重要使命に対する認識亦徹せざるものあるは遺憾に堪えざるところなり。須く權威ある海事調査研究機関を設置して之を活用し以て国民海事思想の普及徹底に努むると共に海運諸現象の理解に必要なる理論的研究の振興促進を圖るべきにして、曩に昭和十五年六月紀元二千六百年の佳歳を記念して設立せられたる辰馬海事記念財団の庶幾するところ、亦この二事に盡く。……” と。
さらに、財団の活動は、海運事業の盛衰を超えて恒久的な事業として存続すべきことも強調して、次のようにも書き遺されています。
“……わが国海運が明治以來數次の戰争を契機として発展し、絶えざる浮沈の歴史を閲して拮据経営今日の大を為すに至れるは周知のところなるも、これが変遷の跡に顧るとき、盛衰転変を超越して後世永くわが国海運に寄與貢献すべき恒久的事業を爲すの意義極めて深きものあるを痛感せずんばあらず。本財団が海事に関する資料の刊行およびその他海事の発展に貢献すると認むる事業、竝にその補助奬勵をその事業目的とし、鋭意之が達成に努めつつあるも、此の點に鑑み以て海運報国の責務を果さんとする微衷に出づるものなり。……” と。