「2013年山縣勝見賞」受賞者決定

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を対象として表彰する制度を発足しましたが、その第6回目に当たる「2013年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します。
 なお受賞者への贈呈式は7月12日(金)、海運クラブにて行います。

≪著作賞≫

 瀬野克久氏著『船舶融資取引の実務』
 (日本海運集会所、2012年2月発行)
 
 受賞者略歴:
 1956年生まれ 慶應義塾大学法学部卒業
 1984年弁護士登録

 現在、一橋パートナーズ法律事務所代表弁護士、
     早稲田大学海法研究所 招聘研究員、
     一般社団法人日本海運集会所 海事仲裁委員会海事仲裁人
 
 受賞理由:
 本書は船舶融資関連取引に従事するに当たり必要とされる金融、船舶登録制度、船舶保険、
 傭船契約、船舶売買、造船契約、船舶管理、担保法、倒産法、会社法、外国の法律等多岐に
 亘る知識、 実務上の取扱について論述した優れた実務書であることが認められる。
 

≪論文賞≫ 

 瀬田真氏執筆「民間海上警備会社(PMSC)に対する規制とその課題
 ~海賊対策における銃器使用の検討を中心に~」
  (山縣記念財団『海事交通研究』第61集(2012年11月発行)掲載)
 
 受賞者略歴:
 1983年生まれ
 2008年London School of Economics and Political Science法学修士課程修了
 2010年早稲田大学法学研究科修士課程修了
 現在、早稲田大学比較法研究所助手
 
 受賞理由:
 海賊に対して銃器の使用に規制がある現在の法制下で、民間海上警備会社(PMSC)などの
 あり方を法制面及び実務面から考察した論文で、現在海運会社のみならず社会的に非常に
 注目されている論題を扱った秀逸作と認められる。
 

≪功労賞≫

 山岸寬氏
 
 受賞者略歴:
 1941年生まれ 早稲田大学大学院商学研究科商学専攻博士課程単位取得満期退学
 東京商船大学商船学部教授、東京海洋大学海洋工学部教授、
 流通経済大学流通情報学部教授などを経て
 現在、東京海洋大学名誉教授
 
 受賞理由:
 長年に亘り我が国の海運を取り巻く学術研究に尽力され、教育・研究活動において多大な
 功績を挙げた。また、学会においては日本海運経済学会の副会長のほか複数学会の役員を
 務めた。そのほか、数多くの著書や論文を発表し、『海上コンテナ物流論』は日本海運経済
 学会賞を受賞した。
 

なお、本件に関するお問い合わせは、下記へお願いします。

一般財団法人 山縣記念財団  TEL(03)3552-6310 

『海想 ~海運業界の想い出話集~』 掲載文募集

当財団は、2013年度の事業として海運業界での様々な経験話を纏め書籍として発刊することとなりました。つきましては掲載文の募集を致しますので、奮ってご応募下さいますようご案内申し上げます。 
 
※※※※※募集要領 ※※※※※
 
1.募集内容 : 冊子『海想 ~海運業界の想い出話集~』 掲載文
海運業における諸経験談を文章としてまとめたもの。こんな荷物を運んだ、こんなトラブルを経験した、事故の遭遇やマーケット/経済変動での苦労話、素敵な出会い、たのしい経験など仕事を通じての様々な思い出をエッセイ文の形式で。

2. 応募原稿 :
未発表のもので、原則日本語とします。A4版横書き(40字×40行)3枚から5枚程度基準。但し、エッセイ文として常識の範囲に収まる程度であればその限りにありません。写真・イラストの挿入も歓迎いたします。

3. 原稿提出方法 :
メールに原稿を添付して送信下さい。

4. 応募手順 :
(1) 寄稿を希望される方は2013年4月26日(金)までに財団宛メールにてご連絡ください。その際に予定寄稿文の題を付け(仮題で結構です)内容が分かるようお知らせください。また匿名・ペンネームの掲載も検討致しますので併せてお知らせください。
(2) 当財団より執筆を依頼するかどうかを2013年5月10日(金)までに連絡します。
(3) 寄稿文の提出期限は2013年6月7日(金)とします。
(4) 提出文は内容によっては掲載をお断りする場合もありますので予めご了承ください。

5. 原稿料 :
掲載された寄稿文については、当財団所定の料率にて原稿料をお支払いします。  
 
6. その他:
掲載は個人名で行い、肩書はなしと致します。発刊の予定は2013年の夏頃。書籍は非売品として公立図書館、大学図書館、海事研究団体、船会社、商社、銀行など海運業界の関係先に寄贈します。
寄稿者の皆様には若干の部数をお渡しいたします。
                          
以上
 
応募・寄稿文 提出先:
一般財団法人 山縣記念財団
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-1-9 京橋北見ビル西館5F
TEL:03-3552-6310,FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp

訃報:当財団前理事長 田村茂氏

一般財団法人山縣記念財団前理事長 田村 茂儀
3月18日永眠いたしました。(74歳)
ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます。
なお、通夜並びに葬儀・告別式は下記の通り執り行います。

           記

通    夜:3月21日(木)18時~

葬儀・告別式:3月22日(金)10時~11時

式    場:桐ケ谷斎場 鶴式場  

住所:東京都品川区西五反田5-32-20

地図:http://www.tokyohakuzen.co.jp/funeralhall/kirigaya_map.html

喪   主:田村 規子(令室)

通夜並びに告別式に関するお問い合わせ、ご供花のご用命は下記宛にお願い申し上げます。

株式会社公益社 
TEL: 03-5491-3070
FAX: 03-5491-7521
                           
以上

平成24年度日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」表彰式に出席しました

2013年3月1日、日本郵船(株)本社(東京・千代田区)にて、(社)日本海洋少年団連盟主催の平成24年度「褒状山縣賞」表彰式が開催され、当財団から、小林理事長、郷古常務理事が出席しました。

同賞は、同連盟が、優秀な団員を顕彰し、海運、船舶、海洋環境保全等の知識の更なる向上とモチベーションの昂揚を図り、卒団後も引き続き海洋少年団の指導育成に当たる人材を確保するために、同連盟の第3代会長を務めた山縣勝見(当財団創設者、初代理事長)の名を冠し、当財団からの助成を受けて、平成22年度から開設したもので、今回はその第3回目です。

席上、同連盟の草刈隆郎会長(日本郵船相談役)から挨拶と表彰状の授与があり、当財団小林理事長からも祝辞がありました。

平成24年度「褒状山縣賞」の受賞者は、以下の皆さんです。

 佐世保海洋少年団   松枝 未華さん
 門司海洋少年団     吉本 将秀さん
 洞海海洋少年団    浅原 義博さん
 福岡海洋少年団    宮地  海さん
 大分海洋少年団    佐藤 碧海さん

2012年度褒状山縣賞表彰式後の記念撮影 前列中央 連盟・草刈会長をはさんで 左から 宮地さん、浅原さん、吉本さん、松枝さん、佐藤さん、後列左から 連盟・野一色専務理事、財団・郷古常務理事、小林理事長、連盟・岩崎副会長

その後、一同は、当財団事務所を訪問し、当財団から記念品として、図書『たいせつなことは船が教えてくれる』(藤沢優月氏著、2012年11月金の星社刊、後記「注」をご参照下さい。)を受賞者の皆さんに贈呈しました。

山縣記念財団事務所にて記念撮影 前列左から 松枝さん、佐藤さん、宮地さん、吉本さん、後列左から 連盟・野一色専務理事、財団・小林理事長、浅原さん、財団・郷古常務理事


※写真をクリックすると拡大します。

 

注:藤沢優月氏著『たいせつなことは船が教えてくれる』:著者(文筆家)が日本郵船のコンテナ船『オルフェウス』に実際に乗船した体験をもとに、若者に対して、働くことの意義、出会い、絆など人が生きる上で大切なことは何か、についてメッセージを送っている青少年向け図書です。

『海事交通研究』(年報)2013年第62集掲載論文募集のご案内

当財団は、学術研究誌『海事交通研究』(年報)を1965年11月に創刊し、海運とその周辺分野に関する最新の研究成果を発表して参りました。
2013年11月発行予定の第62集につきましても、以下の要領にて、掲載論文の募集を致しますので、奮ってご応募下さいますようご案内申し上げます。 

 

※※※※※募集要領 ※※※※※

 

1.募集対象分野  :
海運、物流、港湾、海上保険及びその周辺分野をテーマとする論文

2. 応募原稿 :
未発表のもので、原則日本語としますが、相談に応じます。共著も可。

3. 原稿執筆要領 :
A4版縦置き・横書き(40字×40行)で10枚を限度とします。(目次・図表・注等を含みます。なお、注の部分は、注番号の他は1行当たり44字で行間は本文と同じ。)

4. 原稿提出方法 :
メールに原稿を添付して送信するか、或いはフロッピーディスクをお送り下さい。

5. 応募・審査手順 :
(1) 論文執筆申請者は「年報掲載論文執筆申請書」(以下「申請書」という)を2013年2月1日(金)~3月29日(金)(当日の消印有効)の間に、メール・郵便又はFAXによりお送り下さい。
尚、申請書のワード・データが必要な方は当財団(後記)宛ご連絡下さい。
(2) 当財団の「年報掲載作品編集委員会」(以下「編集委員会」という)が提出された申請書を審査し、年報掲載論文の執筆を依頼するかどうかを4月末までに連絡します。
(3) 論文提出期限は2013年8月30日(金)とします。
(4) 提出論文の年報への掲載については、編集委員会の審議を経て最終決定します。

6. 原稿料 :
年報に掲載された論文については、当財団所定の料率にて原稿料をお支払いします。                             
以上

 

年報掲載論文執筆申請書/論文 提出先:
一般財団法人 山縣記念財団
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-1-9 京橋北見ビル西館5F
TEL:03-3552-6310,FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp


過去の年報掲載論文についてはこちらから

2013年度支援・助成申込の募集

 当財団は、海事関係学会、団体、研究者による調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への支援・助成活動を行って参りましたが、2013年度につきましても以下の通り募集致しますので、ご応募下さい。

 

※※※※※ 2013年度支援・助成申込の募集要領 ※※※※※

 

1. 募集対象分野:
海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への支援・助成

2. 募集開始日:
2013年1月10日(木)

3. 第1回応募締切日:
2013年2月28日(木)(当日の消印有効)
尚、年度中の申込は随時受け付けますが、年度の予算額を超えた時は応募を締め切ります。

4. 申請条件:
(1) 2013年4月から2014年3月までに実施する事業であること
(2) 収益を目的とする事業は対象とせず、海事交通文化の振興又は調査研究に関連する事業であること
(3) 既に実施している事業で、その実績が一定の評価を得ているもの、又はこれから実施しようとする事業の場合は、当該事業を実施するための実態的な人材・知見が整い、事業目的が明確に示されていること
(4) 本助成金を利用して活動した後の事後報告を速やかに行うこと

5. 申請手続:
応募者は、当財団所定の申請書(又はこれに代え、募金趣意書など)を提出して下さい。
尚、申請書のワード・データが必要な方、その他詳細については当財団(後記)宛お問い合せ下さい。
     
6. 審査結果の発表:
第1回については、助成審査委員会(2013年3月上旬開催予定)により審査し、理事会(2013年3月下旬開催予定)に答申。結果は、4月上旬までに申請者宛連絡します。

                            
以上

 

申請書送付先:
一般財団法人 山縣記念財団 
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-1-9 京橋北見ビル西館5F

問い合せ先:
上記 TEL:03-3552-6310, FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp


「2013年山縣勝見賞」募集開始のお知らせ

当財団は、海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を表彰するため、2008年に創立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設致しました。
この度「2013年山縣勝見賞」の募集を開始致しますので、奮ってご応募下さい。
募集要領は以下の通りです。

 

※※※※※ 「2013年山縣勝見賞」募集要領 ※※※※※

 

1.募集対象分野 :
海運、物流、港湾、海上保険及びその周辺分野をテーマとする著作(共著も可)、論文並びに業績

2. 募集開始日 :
2013年 1月 7日(月)

3. 応募締切日 :
2013年 3月29日(金)(当日の消印有効)

4. 賞の種類及び対象 :
① 著作賞(30万円) 海事関係の単著又は共著で、2010年1月1日から2012年12月31日までの間に発表されたもの。
 
② 論文賞(20万円) 海事関係論文で、上記と同期間に発表されたもの。
 
③ 功労賞(20万円) 海事交通文化の発展に顕著な業績のあった方で、特にその業績の対象期間は問わない。
      
尚、既に他の学会又は団体などから受賞している場合でも受賞の資格を有するものとします。
 
5. 推薦・申請手続 :
原則として、海事関係の個人・団体の推薦又は自薦によるものとします。応募される方は、
当財団所定の推薦/申請書に当該書籍/論文コピーを1部添付の上、下記住所宛送付して下さい。 (書籍は後日返却します。)
尚、推薦/申請書のエクセル・データが必要な方、その他詳細については当財団(下記)宛お問い合せ下さい。
 
6. 受賞者の発表 : 受賞者の氏名等は、2013年6月上旬に本財団のホームページ、その他海事関連のメディアを通じて発表します。
尚、受賞者への贈呈式は、7月15日の「海の日」の前後に行います。
                            
以上

 

推薦/申請書・書籍/論文コピー送付先・問合せ先 :
一般財団法人 山縣記念財団 
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-1-9 京橋北見ビル西館5F
TEL:03-3552-6310, FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp

当財団理事長に小林一夫就任

当財団理事長 田村 茂(たむらしげる)は12月31日付を以って退任し、1月1日付にて小林 一夫(こばやし かずお)が後任の理事長に就任致しました。
これに伴い、財団案内-役員・評議員・研究員のページを更新しました。

『海事交通研究』(年報)第61集を発行しました。

≪序文から≫
≪目次≫
≪執筆者紹介≫

 

≪序文から≫

わたしども財団も、 「新公益法人制度」の実施により新制度への移行が求められた中で「公益法人」か「一般法人」かの選択を迫られ、種々検討の結果「一般財団法人」としての財団運営を選択、内閣府よりその認可を受け、2012年4月1日から「一般財団法人 山縣記念財団」として、新たに作成した「定款」に従って再スタートしております。
 70有余年に亘る財団の歴史の中でも大きな状況変化であり、まさに一つのターニング・ポイントです。新しい「定款」の目的は、いままで同様「わが国海事交通文化の発展に関する事業を行い、その振興に寄与する事を目的とする」としております。
 そして、その目的達成のための事業の一つとして本年も年報「海事交通研究」第61集を皆様にお届け出来ることを嬉しく思います。まず、昨年より取上げている「海上保険」分野で中出先生にわが国の海上保険の現状を纏めて頂きました。また、昨年掲載のCharter Base説明に続いて、今年は荒井氏によるHire Base説明を掲載しております。昨年同様海運実務担当者を中心に大いに参考にして頂きたいと考えております。
 さらに、甲斐先生および瀬田先生による海賊問題での2件の論文は、特に日本籍船への民間武装ガードの乗船の実現のため来年の通常国会での立法に向けての法案作りが国土交通省においてスタートしておりタイムリーな論文です。新井氏の論文は昨年の掲載論文の続編とも言えるものであり、長谷先生の論文、南先生の論文ともなかなか興味のあるテーマに取り組んで頂いたと感じております。このように本年も数多くの応募論文を頂いた中から本書掲載の7件を選抜掲載させて頂きました。諸先生のご協力に厚く御礼申し上げる次第であります。
 ところで、当財団では昭和15年(1940年)の財団設立から70有余年が過ぎましたが、そのルーツは遡ること350年昔の寛文2年(1662年)西宮の辰馬本家酒造による清酒「白鹿」の醸造に始まり、そこから海運業、海上保険業にも進出していったものです。この長い歴史の中で辰馬汽船、新日本汽船、山下新日本汽船(YS LINE)のことなど徐々に人々の記憶から薄れて行きつつあるなかで、当財団として何か残せないかと考え、この度2012年9月末に冊子「海、船、そして海運―わが国の海運とともに歩んだ山縣記念財団の70年―」を発刊致しました。「年報」をお届けしている皆様には既に配布させて頂いていると承知いたしておりますが、「年報」同様ご一読頂ければ幸甚です。
 さて、中出先生がここでの論文の最後のところで述べられているようにわが国経済にとって極めて重要な貿易取引、海運、海上保険等の分野での研究教育の弱体化を心配され、加えて海上保険市場でのJapan Passingを危惧されておられます。一方、海運経済研究部門でも、この点は惨憺たる状況のようで、最近、東海大学海洋学部の篠原正人教授が雑誌「KAIUN」10月号に、今年9月に台北で開催された国際海運経済学会世界大会には世界中から310名の参加と150本の研究発表があり、その内アジア人の参加は200名、研究発表は110本を超えたと紹介あり、この世界大会はアジア大洋州、米国大陸、欧州大陸の持ち回り開催であるが、今回は誠に多くのアジア人の参加があったと。ただ残念なことに、日本人は篠原教授を含めて7名、研究発表は4本のみであった由。このように世界の海運・港湾研究は韓国人と中国人によって牛耳られつつあり、ここでもJapan Passingの様相になっていることを嘆いておられる。
 この辺りの現状は、いま一度真摯に受け止め企業と大学との連繋を立て直すことなどが喫緊の課題と考えるものです。わが財団も「海事大国Nippon」の再構築のため微力ながら努力する所存であります。関係各位の更なるご協力ご支援をお願いするものです。

2012年11月
                             一般財団法人 山縣記念財団
                                 理事長 田村  茂

 

11月28日発行後、海運関係の学者・研究者の皆様や国立大学法人、公立および私立の大学図書館・研究所・資料館・一部の企業に配本しました。関心をお持ちの方、購読をご希望の方は、下記の「お問い合わせフォーム」から、又はお電話にてお問合せ下さい。
又、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。       

一般財団法人 山縣記念財団

お問い合わせフォーム
TEL(03)3552-6310

 
≪目次≫
序文 田村 茂
(山縣記念財団理事長)
わが国の海上保険の現状の課題と進むべき方向性 中出 哲
(早稲田大学商学学術院准教授)
海賊対処法の意義と課題 甲斐克則
(早稲田大学法科大学院教授)
民間海上警備会社(PMSC)に対する規制とその課題
-海賊対策における銃器使用の検討を中心に-
瀬田 真
(早稲田大学法学研究科博士後期課程)
Hire Baseの構成要素とそのリスクについて 荒井 徹
(株式会社エクセノヤマミズ 代表取締役専務)
離島航路を巡る環境変化と政策 長谷 知治
(東京大学公共政策大学院客員研究員)
違法停泊船と航走船との衝突に関する一考察 南 健悟
(小樽商科大学商学部准教授)
油濁による環境損害を通した経済的損失の考察 新 井 真
(川崎汽船株式会社 IR・広報グループ長)

                             
         
 執筆者紹介

 山縣記念財団よりのお知らせ 
 

 

                             
 
≪執筆者紹介≫
(掲載順) 

中出 哲(なかいで さとし)
 1981年一橋大学商学部商学科卒業後、東京海上火災保険(株)入社。マリンクレーム、法務、コンプライアンス、経営企画各部門にて、損害保険の実務と研究に従事。その間、ロンドン大学L.S.E.法学部大学院にてLL.M.、ケンブリッジ大学大学院法学研究科にてDiploma in Legal Studiesを各々取得し、九州大学経済学部客員准教授を歴任。2009年早稲田大学商学学術院に転出し准教授に就任。専攻は海上保険、保険法。共著書として、『海上保険の理論と実務』(2012年度山縣勝見賞著作賞受賞)、『船舶衝突法』、『はじめて学ぶ損害保険』、『保険論』、『損害保険市場論』、『保険学』、『保険関係訴訟法』、『保険法』等、主要論文として「損害防止費用とは何か」、「損害保険における付帯サービスの位置づけ」、「請求権代位により保険者が取得する権利」等がある。日本保険学会、日本私法学会、国際保険学会(AIDA)に所属。

甲斐 克則(かい かつのり)
 1982年九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得後、同大学法学部助手として勤務、その後、海上保安大学校専任講師、助教授、広島大学法学部助教授、教授を歴任し、広島大学で博士号(法学)を取得。2004年早稲田大学大学院法務研究科教授に就任し、現在に至る。専攻は、刑法・医事法。主著に『海上交通犯罪の研究』、『安楽死と刑法』、『尊厳死と刑法』、『責任原理と過失犯論』、『被験者保護と刑法』、『医事刑法への旅 Ⅰ〔新版〕』、『生殖医療と刑法』、『医療事故と刑法』、『企業活動と刑事規制』(編著)、『現代社会と刑法を考える』(編著)、『ポストゲノム社会と医事法』(編著)、『インフォームド・コンセントと医事法』(編著)、『医療事故と医事法』(編著)、『企業活動と刑事規制の国際動向』(共編著)、『生命倫理第5巻 安楽死・尊厳死』(共編著)等。現在、日本刑法学会常務理事、日本医事法学会代表理事、日本生命倫理学会理事。

瀬田 真(せた まこと)
 2007年早稲田大学法学部卒業後、同大学大学院法学研究科修士課程を経て、博士後期課程に在学中。修士課程在学中にLondon School of Economics and Political Science の法学修士課程を修了し、国際刑事裁判所裁判部インターンを経験。専攻は国際法。国際法学会及び世界法学会に所属。

荒井 徹(あらい とおる)
 (株)エクセノヤマミズ代表取締役専務。1974年山下新日本汽船(株)入社、経理部、遠洋部、ニューヨーク駐在、1989年合併によりナビックスライン(株)、鉄鋼原料グループリーダー、不定期船企画グループリーダー、1999年合併により大阪商船三井船舶(株)、不定期船統括室長を経て2003年退職、(株)エクセノヤマミズ勤務。通算で約38年間不定期船業務に従事。

長谷 知治(はせ ともはる)
 1994年東京大学法学部卒業後、運輸省(現国土交通省)入省。運輸省運輸政策局貨物流通企画課、大蔵省国際金融局(現財務省国際局)、近畿運輸局運航部輸送課長、国土交通省海事局総務課専門官、同油濁保障対策官(外航課課長補佐併任)、人事院在外派遣研究員(英国運輸省海事局)、東京大学公共政策大学院特任准教授等を経て、2011年より同大学院客員研究員。また2012年より国土交通省国土交通政策研究所総括主任研究官、早稲田大学大学院法学研究科非常勤講師。船舶職員法、油濁損害賠償保障法の改正や、油濁損害に係る追加基金議定書の策定等に従事。本誌第59集(2010年)掲載論文「環境に優しい交通の担い手としての内航海運・フェリーに係る規制の在り方について~カボタージュ規制と環境対策を中心に~」は、2011年山縣勝見賞論文賞を受賞。所属学会は日本公共政策学会、日本海洋政策研究会。

南 健悟(みなみ けんご)
 静岡大学人文学部法学科卒業後、北海道大学大学院法学研究科法学政治学専攻博士前期課程及び後期課程を修了し、2010年小樽商科大学商学部企業法学科准教授に就任、現在に至る。博士(法学)。又、2012年10月より、北海道地方交通審議会船員部会委員。専門は、商法及び会社法。主論文に、「企業不祥事と取締役の民事責任(一~五・完)―法令遵守体制構築義務を中心に」、「リスク管理と取締役の責任―アメリカにおけるAIG事件とCitigroup事件の比較」、「取締役の労働者に対する損害賠償責任―取締役の対第三者責任規定の適用範囲」、「商事判例研究:運送人でもある船主の共同海損分担請求と同人に対する堪航能力担保義務違反に基づく損害賠償請求」がある。日本海法学会、日本私法学会に所属。

新井 真(あらい まこと)
 1983年上智大学法学部卒業後、川崎汽船(株)入社。人事課長、不定期船グループ、経営企画グループ等を経て、現在、IR・広報グループ長。その間日本船主協会会長秘書、政策幹事長、解撤幹事長、環境幹事長も歴任し、2009年早稲田大学にて博士号(法学)取得。博士論文「自然資源損害賠償と懲罰的損害賠償の接点-エクソン・ヴァルディーズ号事件を契機とした米国の動向とわが国における射程-」は2010年山縣勝見賞(論文賞)を受賞。2011年、続編「米国における油濁による損害賠償・損害評価の動向-エクソン・ヴァルディーズ号事件連邦最高裁判所判決の射程-」を本誌第60集に発表、今回掲載の論文は関連3作目。研究分野は民法、環境法、法社会学等。他に主要論文として、「自然資源損害評価の諸相-環境に値段をつけることの是非-」、「自然資源損害賠償と人身損害賠償の接点」、「シップリサイクルにおける『ゆりかごから墓場まで』」がある。日本私法学会、日米法学会所属。

(敬称略)

“はじめに”

「山縣記念財団」は、遡ること70有余年の昭和15年(1940年)、辰馬汽船の基金提供をうけ、「財団法人辰馬海事記念財団」として神戸の地に設立されたのが始まりです。その後、占領下での制約や財閥解体もあって、財団の名称は「辰馬海事文化研究所」、「海事文化研究所」と変わり、昭和39年(1964年)から現在の「財団法人山縣記念財団」とし活動しています。また財団は基本理念を表わした憲法ともいえる「寄付行為」の下で運営してきました。
辰馬汽船のルーツは350年前の寛文2年(1662年)、辰馬本家酒造による清酒「白鹿」の醸造に遡ります。灘は古くから銘酒「灘の生一本」を産するところとして知られ、清酒の一大消費地であった江戸に向け、大量の清酒が運ばれました。その輸送に使用されたのが「樽廻船」でした。辰馬本家酒造も灘の酒造家の一つとして栄え、江戸に清酒を輸送するために自ら多くの「樽廻船」を擁し、海運業そして、関連する海上保険業にも進出していきます。
辰馬汽船も長い歴史の中で、新日本汽船、山下新日本汽船、ナビックスラインそして商船三井と合併などにより社名が変わり、保険業でも辰馬海上火災、興亜火災、日本興亜損保、そしてこの度の新社名損保ジャパン日本興亜と変わって行くことになりました。
70年史の発行は350年という長い歴史の中で、いまや辰馬汽船、新日本汽船はもちろん、山下新日本汽船(Y S LINE)のことなども徐々に人々の記憶から薄れて行きつつある中で、当財団としてなにか残せないものかと考えたのがきっかけでした。当財団も「新公益法人制度改革」の施策の中で、この度「一般財団法人」としての財団運営を選択し、内閣府よりその認可を受け、平成24年(2012年)4月1日から「一般財団法人山縣記念財団」として、新たに作成した「定款」に従って再スタートすることになりました。長い財団の歩みの中でもまさに大きなターニング・ポイントであります、そこでこれを機に、このような冊子「海、船、そして海運―わが国の海運とともに歩んだ70年―」を作成しました。
この冊子の作成にあたり留意しました点は、読まれる方々にとって興味のある部分だけでも拾い読み出来るよう、よもやま話風にそれぞれの話を独立させて掲載していることです。また海、船、海運などが中心の話題ですが、いろいろと興味をもって頂くために「トリビア的な話」の掲載もしております。つまり、われわれ財団の歴史などを縦軸にしていろいろな雑学にも話を展開し、そして海運関連の事柄に知識と興味をもっていただくことにより、われわれ財団の活動にもご理解をいただければとの思いであります。なお、本書の刊行にあたり、いろいろとご尽力いただいた海事プレス社の横田実様にはこの場を借りて感謝申し上げるものです。

平成24年(2012年)9月

一般財団法人 山縣記念財団 理事長 田村 茂