山縣記念財団ライブラリー第2弾 木原知己著『躍動する海-さまざまに織りなす「海」の物語-』発行

 

 この度、先の山縣記念財団80周年記念出版『日本の海のレジェンドたち』に続く当財団ライブラリーの第2弾として、船舶金融論や海事文化論でご活躍の木原知己氏による著作『躍動する海-さまざまに織りなす「海」の物語』が刊行となりました。
 本書は、「海」を歴史的・文化論的に様々な観点から捉えた読み応えのある一冊となっています。
 海文堂出版㈱の特約書店一覧は以下に掲載されていますが、それ以外からの注文やオンライン書店経由でも取り寄せが可能です。問い合わせは海文堂出版㈱ 臣永(とみなが)氏までお願いします。
 なお、当財団は本書の販売には、一切関与しておらず、また、印税など収益も発生しません。

海文堂出版

(特約書店一覧掲載サイト)

書籍データ
発行年月 2021年5月
判型 A5判
ページ数 336ページ
定価 2,860円(税込)
ISBNコード 978-4-303-63443-8

 

≪「はじめに」から抜粋≫
 ふとしたことから「海」について体系的にまとめてみようと思い付き、『躍動する海―さまざまに織りなす「海」の物語』というタイトルでその構想はまとまりました。
 海はスケールが大きく、ミステリアスにしてフレンドリーです。わたしたちはそうした「海」なる風土性が反映される時間の流れのなかで息づいており、それは、わたしたちが「海」によって織りなされる“文化”とともにあるということです。
 公益財団法人日本海事センターによる「海に関する国民の意識調査」(2014年)によれば、「海が好き」と回答した人は69.9パーセント(前年の調査結果では69.3パーセント)、「海が嫌い」と回答した人は3.3パーセント(同2.7パーセント)、「どちらとも言えない」が26.8パーセント(同28.0パーセント)となっています。男女別でみると女性よりも男性の方が海に対する好感度は高く(男性75.7パーセント、女性64.7パーセント)、「海が好き」と回答した10代の若い層が前年比12.3パーセント増の69.2パーセントと調査開始以来最高を記録したようです。
 海が好きな理由は「落ち着く・癒される・安らぐ・心が和む・リラックスできる・安心感がある」がもっとも多く、「泳げるから・遊べるから」と続きます。逆に海が嫌いな理由は、「汚い・汚れる・臭いが嫌・ベタベタする」がもっとも多く、「見るのは好きだが泳ぎたくない・入りたくない」と並んでいます。好きでも嫌いでもどちらでもないのは、「行く機会がない・遠い」からのようです。海から連想することの1位はレジャーで53.9パーセント(前年は54.3パーセント)、観光14.7パーセント、船9.8パーセント、環境問題4.1パーセント、海洋資源3.5パーセント、海に係わる仕事1.6パーセントと続いています。レジャーと回答した人を年代別でみると、60代は3割台ながら20代から40代は6割を超えています。高年齢層は海に「静」、若い層は「動」の要素を求めているのでしょうか。
 以上の調査結果から見えてくるのは、少なからぬ日本人が「海」に対して関心を示しており、「海」が多くの日本人の心の原風景として息づいているということです。海洋国であれば当然かもしれませんが、なんだかホッとします。敢えて言うまでもなく、島国であるわが国において海は身近な存在であり、遠洋にまで出かけていく漁船団、貿易立国を支える海事産業―わが国貿易量の99.6パーセント(重量ベース)を担っている(『SHIPPING NOW 2020–2021』)―の恩恵を受けてわたしたちは日々の生活を送っています。海はわたしたちの暮らしそのものと言っても良く、海について改めて考えることでわたしたちの生活はより実りあるものになるにちがいありません。
 本書では「海」が主役であり、海についての大まかな整理、わたしたちの祖先と海の出会い、わたしたちの日々の生活と海の関わり、わたしたちが海に対して抱く心の問題、海と文化、すなわち海と科学(サイエンス)や技術・創造性(アート)との関係性、「海洋国」のあるべき姿をメインストリームとしています。海を扱うとなれば、海洋学など自然科学の分野とされがちです。しかし、これからの海洋について語るとき、自然科学に裏付けられた社会科学や人文科学の知見に基づく分析と総合が重要になる、と、わたしは確信しています。本書はそうした考えに基づいています。

 

≪目次≫
第1章 「海」の諸相
 1. 「海」の雑学
 2. 七つの「大洋」
 3. 大洋の「付属海」
 4. 運河
 5. 母にして女性なる「海」
 6. スケールの大きい「海」
 7. ミステリアスな「海」
 8. フレンドリーな「海」
第2章 ホモ・サピエンスと「海」
 1. 「海」の誕生
 2. ホモ・サピエンスの誕生と「海」
 3. ホモ・サピエンスの移動と「海」
 4. ホモ・サピエンスの“日常”と「海」
第3章 わたしたちの“心”を織りなす「海」
 1. 正(プラス)の心を織りなす「海」
 2. 負(マイナス)の心を織りなす「海」
 3. 冒険・探検を織りなす「海」
第4章 交易・文化を織りなす「海」
 1. 交易を織りなす「海」
 2. 文化を織りなす「海」
第5章 わが国の交易・文化を織りなす「海」
 1. 稲作文化、金属文化の伝来
 2. 儒教、仏教の伝来
 3. 遣隋使の派遣
 4. 遣唐使の派遣
 5. 日宋貿易
 6. 武士の勃興と「海」
 7. 日明貿易
 8. 倭寇
 9. 南蛮貿易と文化の伝来
 10. 朱印船貿易
 11. 家康の交易振興
 12. 家光の鎖国政策と内航網の確立
 13. 朝鮮通信使
 14. 江戸期いろいろ
 15. 「文明開化」への助走
 16. 明治期における文化の伝来
 17. 浸潤する西洋文化
 18. 「教えを乞う」ということ
 19. 産業の興隆
 20. 海外においてわが国の文化を織りなす「海」
最終章 わたしたちの“明日”を織りなす「海」
 1. 海村を織りなす「海」
 2. 「海」の未来と社会
 3. 真の「海洋国」をめざして

 

≪プロフィール≫
木原知己(きはら ともみ)
1984年4月に九州大学法学部卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。資本市場業務のほか、主として大手海運会社向け船舶融資業務を担当し、営業第八部長(海運・鉄道担当)を経て、高松支店長を最後に同行退職。その後、都内金融機関を経て2011年に青山綜合会計事務所顧問に就任。パートナーを経て退職。現在、センチパートナーズ(株)代表取締役、早稲田大学大学院法学研究科非常勤講師(「船舶金融法研究講座」)、海事振興連盟3号会員、海洋立国懇話会理事運営委員などを務める。専門は船舶金融論・海洋文化論。著書に『シップファイナンス―船舶金融概説(増補改訂版)』海事プレス社(2010年):住田海事奨励賞受賞、『船主経営の視座―税務・為替の手引』海事プレス社(2011年)、『波濤列伝―幕末・明治期の“夢”への航跡』海文堂出版(2013年)、『船舶金融論―船舶に関する金融・経営・法の体系』海文堂出版(2016年、2訂版(2019年)):山縣勝見賞著作賞受賞、『号丸譚―心震わす船のものがたり』海文堂出版(2018年)、編著(編集者代表)に『船舶金融法の諸相―堀龍兒先生古稀祝賀論文集』成文堂(2014年)、『日本の海のレジェンドたち―山縣記念財団80周年記念出版』海文堂出版(2021年)がある。

 

山縣記念財団80周年記念出版編集委員会編『日本の海のレジェンドたち』発行



 

 令和2 年(2020)6 月に設立80 周年を迎えた記念として、3月28日、当財団として初めての試みである一般書店での販売も可能となるよう、このたび海文堂出版㈱から出版しましたのでお知らせします。
 執筆者は、海事・海運の研究者や登場人物にゆかりの人々で総勢21名。海を舞台に活躍、また海事産業の発展に寄与したレジェンドともいうべき偉人20余名の評伝集です。
 「日本の海のレジェンドたち」が、いかにその時代の課題を見つめるとともに将来へのヴィジョンを描き、より良き時代の到来に向けて努力を重ねてきたか、現代を生きる私たちにも参考となると思います。
 海文堂出版㈱の特約書店一覧は以下に掲載されていますが、それ以外からの注文やオンライン書店経由でも取り寄せが可能です。問い合わせは海文堂出版㈱ 臣永(とみなが)氏までお願いします。
 なお、当財団は本書の販売には、一切関与しておらず、また、印税など収益も発生しません。

海文堂出版

(特約書店一覧掲載サイト)

書籍データ
発行年月 2021年3月
判型 A5判
ページ数 288ページ
定価 2,750円(税込)
ISBNコード 978-4-303-63442-1

 

≪目次≫
第一部 助走~世界に冠たる内航海運を支えたレジェンドたち~
 河村瑞賢
 大黒屋光太夫
 高田屋嘉兵衛
 銭屋五兵衛
第二部 ホップ~海外と関わったレジェンドたち~
 勝海舟
 小栗上野介忠順
 ジョン万次郎
 坂本龍馬
 漂流譚のなかのレジェンドたち
第三部 ステップ~海事産業の近代化を担ったレジェンドたち~
 岩崎弥太郎
 荘田平五郎
 浅野総一郎
 郡寛四郎
 松方幸次郎
第四部 ジャンプ~海事産業の発展に寄与したレジェンドたち~
 山下亀三郎
 各務鎌吉
 勝田銀次郎
 村田省蔵
 内田信也
第五部 未来へ~海事産業を新たなステージへと導いたレジェンドたち~
 森勝衛
 和辻春樹
 住田正一
 有吉義弥
 山縣勝見

 

≪はしがき≫
 本書は、江戸時代以降、海を舞台に活躍した「レジェンドたち」の評伝を集めたものです。その中には商人や武士もいれば、偶然の漂流から生還して一躍ヒーローになった庶民もおり、また、明治・大正・昭和期に海事産業の近代化に尽くした海運企業の経営者、さらには大船長の名前もあります。
 わが国は、「海の日」を「国民の祝日」にしている唯一の国です。「海の日」は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを目的に制定された祝日です。四面を海に囲まれたわが国は、古来、海から多くの恩恵を受けてきました。海のおかげで、湿潤で温暖な気候や風土、豊かな海産物や資源に恵まれ、そこには漁業等を営む人々がいましたし、また、船によって、離れた地域と物資をやりとりする貿易商たちや海運企業で働く人々がいました。時代が進み、人口が増加し、海外とのヒト・モノ・文化の往来もますます活発になりました。こうして海は「世界を隔てるもの」ではなく「世界をつなぐもの」になったのです。
 本書の編集者である一般財団法人山縣記念財団は、「海事交通文化の発展に寄与すること」を目的として、昭和15年(1940)、当時の辰馬汽船(現在の商船三井の源流の一つ)社長であった山縣勝見によって設立され、令和2年(2020)6月に設立80周年を迎えた記念として、本書を企画しました。企画の動機は、当財団の設立時期よりさらにさかのぼって、江戸時代以降の「日本の海のレジェンドたち」がいかにその時代の課題を見つめるとともに将来へのヴィジョンを描き、より良き時代の到来に向けて努力を重ねてきたか、現代を生きる私たちにも参考になることはないか検証したい、という考えからです。
 この文章を書いているいま現在、世界は新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機に直面し、人々の健康に対してはもちろん、生活や仕事にも大きな影響が出ています。しかし、この間も「海運」をはじめとした「物流」は片時も止まることなく、人々に食料・生活物資・エネルギーを供給し続けています。「海運」が人々の生活の「基本インフラ」であること、「船員」という仕事がいかなる状況であっても「エッセンシャル・ワーカー」であることを多くの皆様に是非知っていただきたい、そして、離れた地域間、ひいては世界中の人々と平和的に共存共栄できるようなつながりを求め、海上交通網を構築し、維持・拡大に努力してきた人々、その中で活躍した人々に思いを馳せていただきたい、そうした思いを胸に本書を皆様のお手元にお届けさせていただく次第です。
 最後になりますが、これだけ多くの「日本の海のレジェンドたち」が生きた航跡を紹介できるのも各評伝を執筆いただいた21名の皆様、並びに資料や画像を提供してくださった皆様のおかげであり、ここに心からお礼を申し上げます。
 また、これまで当財団の出版物は海事関係者など限定した範囲での配布としていましたが、本書については、より多くの方に読んでいただきたいとの願いから、初めて出版社経由での出版といたしました。本書の企画段階から、編集、出版に至るまで終始多くの助言をいただいた編集委員の先生方、並びに、海文堂出版の臣永真氏に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。  

2021年2月

                   一般財団法人 山縣記念財団 
                     理事長   郷古 達也

『海事交通研究』第70集寄稿論文、 「2021年山縣勝見賞」、 補助金助成申込みの募集のお知らせ

当財団は、新年1月4日(月)より、以下三事業の募集を順次致しますので、夫々の募集要領(又は、早見表)をご覧の上、末尾の連絡先宛、是非ご応募・お問合せをお願いします。

1.海事交通研究第70集寄稿論文募集
当財団は、『海事交通研究』(年報)を1965年(昭和40年)11月に創刊し、海運とその周辺分野に関する最新の研究成果を発表して参りました。≪募集要領へ≫

2.2021年山縣勝見賞の募集
当財団は、2008年に創立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海事交通文化の調査・研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を表彰しております。≪募集要領へ≫

3.2021年度補助金助成申込みの募集
当財団は、海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への補助金助成活動を行って参りました。≪募集要領へ≫


 

※※※※ 1.『海事交通研究』第70集への掲載論文の募集要領 ※※※※

 

1. 『海事交通研究』では、これまで、海運、物流、港湾、船舶、船員、造船、航海術、海洋法等関連法規、海上保険等、広くわが国の海事社会及び海事産業に根差した自由な研究に題材を置く論文を掲載して参りました。2021年の第70集も同様の方針の下、応募者の選択による自由なテーマでの論文を募集致します。

2.本誌では引き続き、海事社会・産業の現代的な問題及び将来的な方向性を捉えて世に問う役割も担い続けていきたいと考えております。そうした視点から、第70集に応募いただく論文のテーマをいくつか例示させていただきました。本誌への投稿を企画されるにあたっての参考としていただければ幸いです。
 (1)海事産業におけるM&Aについて
 (2)近年の国際情勢や技術革新を踏まえた海上保険の動向
 (3)海運における技術革新: AIの利用と展望
 (4) SDGs(持続可能な開発目標)を念頭に置いた海事社会のあり方
 (5)昨今の日本及び世界の造船産業の現状と技術の進化
 (6)感染症と海運・船舶・船員・保険

3. 応募資格者:どなたでも応募出来ます。

4. 応募原稿 :未発表のもので、原則日本語としますが、相談に応じます。共著も可。

5. 容量:A4版縦置き横書き(40字×40行)で最大12ページ(目次・図表・注等を含む)とします。

6. 応募・審査手順:

(1) 以下につき、ご了承の上、ご投稿をお願いします。
  ①二重投稿・剽窃・自己剽窃とみなされる論文等の投稿は不可。他誌/媒体にすでに掲載された文章を一定範囲で再掲される場合は必ずご相談ください。
  ②著書や新聞等の文献から引用した場合及び発想を転用した場合は、出典(著者名・ タイトル・発行所名・発行年月等)を明記する。但し、ウェブサイト上の資料を利用した場合は、URLとアクセスした日付を明記する。

(2) 論文等執筆の申請をされる方は、年報掲載論文等執筆申請書(以下「申請書」という)を2021年1月4日(月)~2月28日(日)の間に、メール・郵便(2月28日(日)消印まで有効)又はFAXによりお送り下さい。

(3) 当財団の「年報掲載作品編集委員会」(以下「編集委員会」という)が提出された申請書を審査し、論文等の執筆を応諾するかどうかを3月末までにご連絡致します。

(4) 原稿は2021年7月20日(火)23時59分までを財団着信時刻の締切として、メールにて応募のこととします。

7. 提出論文の年報への掲載に際しては、査読(注)を経て、編集委員会での審議にて決定し、9月下旬頃までにお知らせします(論文以外の形式で執筆された作品は査読の対象外です)。発行は、12月上~中旬の予定です。査読を経た論文には、≪研究論文(査読付き)≫と明記します。
 (注)査読は、研究論文として応募されたものを対象に、大学または大学に準ずる教育研究機関において教育研究の経験のある者、および民間企業等で実務経験のある者の中で、査読対象の論文の研究分野に精通している者によって行い、
  ①新規性・独創性
  ②有用性
  ③信頼性・公平性・客観性
  ④首尾一貫性、課題達成度、具体的提案
  ⑤読みやすさ
を評価項目とします。

8. 原稿料:年報に掲載された論文等については当財団所定の料率にて原稿料をお支払します。

以 上

過去の年報掲載論文(2017年第66集まで)はこちらから

過去の年報掲載論文(2018年第67集から)はこちらから

 


 

※※※※ 2.「2021年山縣勝見賞」の募集要領 ※※※※

 

1. 募集対象分野:海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野をテーマとする著作
(共著も可)、論文並びに業績

2. 募集開始日 :2021年3月1日(月)

3. 応募締切日 :2021年4月30日(金)(当日の消印有効)

4. 賞の種類及び対象:
① 著作賞  海事関係の単著又は共著で、2018年1月1日から2020年12月31日までの間に発表されたもの。
② 論文賞 海事関係論文で、上記と同期間に発表されたもの。
③ 功労賞 海事交通文化の発展に顕著な業績のあった個人。 特にその業績の対象期間は問わない。
④ 特別賞 上記三賞に匹敵する功績が認められる個人又は法人並びにその事業
尚、既に他の学会又は団体などから受賞している場合でも受賞の資格を有するものとします。

5. 賞金 :各賞とも20万円

6. 応募手続:応募は、個人・団体の推薦又は自薦によるものとします。
応募者は、 山縣勝見賞推薦/申請書に当該書籍/論文を1部添付の上、提出して下さい。 (書籍は後日返却します。)
尚、推薦/申請書のExcelフォームが必要な方、その他詳細についてはお問い合わせ下さい。

7. 受賞者の発表:受賞者の氏名等は、2021年6月上旬までに当財団のホームページ、その他海事関連のメディアを通じて発表します。
尚、受賞者への贈呈式は2021年7月22日の「海の日」の前後に行います。

以 上

 


 

※※※※ 3.2021年度補助金助成申込みの募集要領 ※※※※※

 

1. 募集対象分野:海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への支援・助成

2. 募集開始日 :2021年1月4日(月)

3. 応募締切日 :2021年2月28日(日)(当日の消印有効)

4. 申請条件  :
(1) 2021年4月から2022年3月までに実施する事業であること

(2) 収益を目的とする事業は対象とせず、海事交通文化の振興又は調査研究に関連する事業であること

(3) 既に実施している事業で、その実績が一定の評価を得ているもの、又はこれから実施しようとする事業の場合は、当該事業を実施するための実態的な人材・知見が整い、事業目的が明確に示されていること

(4) 本助成金を利用して活動した後、本助成金の使途に関する事後報告を速やかに行うこと

5. 申請手続 :補助金助成申請書(又はこれに代え、募金趣意書など)を提出して下さい。

6. 審査結果の発表:助成審査委員会(2021年3月上旬開催予定)により審査し、理事会(2021年3月中~下旬開催予定)に答申。結果は、4月上旬までに申請者宛連絡します。

以 上


 

【以上三事業の申請書等の送付先・問合わせ先】
一般財団法人 山縣記念財団
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-10-3 正和ビル5F
TEL:03-3552-6310, FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp

『海事交通研究』(年報)第69集を発行しました。


  12月22日発行後、海事関連の研究者の皆様や企業、団体並びに公立や大学の図書館に配本しました。配本先図書館等は、こちらからご覧下さい。
  お手許にお取り寄せご希望の方は、下記の「お問い合わせフォーム」から、またはお電話にてお申込み下さい。
  また、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。       
    お問い合わせフォーム
    TEL(03)3552-6310

  なお、本誌巻末、「山縣記念財団からのお知らせ」の中の2021年3事業募集記事ならびに奥付に一部記入漏れがあり、お詫びします。こちらをクリックしてご覧下さい。

 

≪序文から≫
 今年は、新型コロナウィルス感染症に翻弄された一年でした。
 感染拡大で経済活動が停滞している中でも、私たちが日々手にしている食料品や日用品・エネルギーの多くは、海上物流を通して、海外から輸入されています。安定的な海上輸送は、社会、そして国民の安心を得るために欠かせない、ということを改めて、身に染みて感じました。
 感染症の影響で、フィリピン他の船員供給国では、乗船を目的とした船員の国内移動はもちろん、海外への渡航も制限を受ける中、乗組員は船主との雇入契約が経過し、あるいは海上労働条約に基づき旗国が定める連続乗船の最長期間を過ぎても交代できない状況が続いています。また、日本での感染の初期にクラスターが発生したクルーズ船の安全対策には厳しい世間の目が注がれ、折角、昨今注目されてきたクルーズの未来にも不安の影を落としました。他にも、海運・物流・港湾・造船を始めとする海事産業の現場の勤務体制に与えた影響は計り知れず、私たちは、今後、ウィズ・コロナの「新常態(ニューノーマル)」にどのように対応していくか、という大きな課題に直面していると思います。

 さて、当財団は、このような中で、本年6月に「設立80周年」を迎えることが出来ました。80年前、1940年(昭和15)前後の日本海運の状況については、巻末の「山縣記念財団80年の歴史を振り返って」をご参照頂くとして、当財団では、設立80周年を記念するために、「江戸時代以降」というさらに長い期間に視点を展開し、その間海運の世界で活躍した人々の評伝集『日本の海のレジェンドたち』を編むことに致しました。おかげさまで、各「レジェンド」の評伝執筆をお願いした皆様のご協力を得て、来年2021年早々には発刊出来る予定です。その際は当財団ホームページでもお知らせしますので、是非お読み頂ければ有難いです。

 一方、本誌では、むしろ未来に目を向け、「海事産業の未来への展望と課題」を特集テーマと致しました。
 坂本氏の「洋上風車周辺海域における船舶航行の安全確保に向けた取組み」では、近年日本でも注目されている洋上風力発電事業において、海事分野が如何に関わっていくか、について、洋上風車周辺の航行安全確保に向けた取組みに焦点を当てて述べられています。
 畑本氏の「内航船員の需給予測の在り方」では、従来から問題視されている内航船員の⾼齢化・不⾜に着⽬し、内航船員の需給予測のあり⽅について考察しています。
 大内氏の「風エネルギーを使用した船舶のゼロエミッション化」では、外航船舶からの CO2排出量を2050年までに半減、今世紀にはゼロにするという2018年IMOで決議された目標を実現するために、現在注目されている、風力エネルギーを使用した「ウィンドチャレンジャー計画」の取り組みについて解説して頂きました。
 荻野氏の「コンテナの未来 ―持続可能な社会の実現に貢献できること―」では、持続可能な社会を実現するための一助として、海上輸送以外にも、災害時等のコンテナの新たな使い方を提案しています。            
 さらに、自由テーマでは、万谷氏・藤本氏共著の「警告信号『汽笛を吹鳴するのは誰か』―現行法と船舶運航者との認識の相違―」において、警告信号を「誰が鳴らすのか」について、船舶運航者間や船員養成課程の教員間で見解が分かれている現状に鑑み、法と現場とのギャップ解消のための考察を行っています。
 また、亀山氏の「港湾後背地のマーケットポテンシャルと港湾の利活用―九州・沖縄管区の14港湾と都市の事例から―」では、近年、外航クルーズ船の寄港地となっている九州・沖縄の港湾の中にもともとコンテナやバルクの港湾であったものが見られることから、九州・沖縄の各港湾と後背地の産業集積を分析対象として、これらの港湾のマーケットポテンシャルが物流や旅客とどのような関係にあるのかを計量的に分析しています。
 今回ご寄稿を頂いた皆様や、査読を頂いた皆様に、心から御礼を申し上げます。

 さて、これまで、募集論文のテーマについて、メインを指定テーマもしくは統一テーマとし、サブを自由テーマとして原稿を募集して参りました。しかし、海事関連の研究テーマは多岐に亘っており、指定/統一テーマを限定するよりも、むしろ、メインを自由テーマとして、参考までにいくつかのテーマの例示を表記するにとどめた方がよいのではとの考えに至りました。今後につきましてはご自由にテーマを設定頂き、ご応募頂きたく、よろしくお願いいたします。
 同時に、本誌は、海事社会・産業の現代的な問題及び将来的な方向性を捉えて世に問う役割も担い続けて行きたいと思います。近年、海運企業の経営に当たっては、「環境」や「デジタル化」を始め多くの課題がありますが、巻末の募集要領に挙げた例示を参考にされ、テーマを選んで頂ければ幸いです。 
 最後に、今回もこうして『海事交通研究』をお届け出来ることに感謝しつつ、皆様のご健康とご発展とをお祈り申し上げます。

2020年12月
                            一般財団法人 山縣記念財団
                             理事長    郷古 達也

 

≪目次≫
序文 郷古 達也
【特集 海事産業の未来への展望と課題】
  ≪研究論文(査読付き)≫
     洋上風車周辺海域における船舶運航の安全確保に
     向けた取組み
坂本 尚繁
     内航船員の需給予測の在り方 畑本 郁彦
  ≪特別寄稿≫
     風エネルギーを使用した船舶のゼロエミッション化 大内 一之
  ≪研究ノート≫
     コンテナの未来
     ―持続可能な社会の実現に貢献できること―
荻野 義雄
【自由テーマ】
  ≪研究論文(査読付き)≫
     警告信号『汽笛を吹鳴するのは誰か』
     ―現行法と船舶運航者との認識の相違―
万谷 小百合・藤本 昌志
     港湾背後地のマーケットポテンシャルと港湾の利活用
     ―九州・沖縄管区の14港湾と都市の事例から―
亀山 嘉大
 

執筆者紹介

山縣記念財団80年の歴史を振り返って
(資料1)山縣記念財団刊行『海事交通研究』(年報)のバックナンバー
(資料2)山縣記念財団による主要出版図書の紹介
(資料3)「山縣勝見賞」歴代受賞者
(資料4)山縣記念財団の年表 

山縣記念財団からのお知らせ
   

 

≪執筆者紹介≫
(掲載順)
坂本 尚繁(さかもと なおしげ)
 東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。修士(学術)(東京大学)。(公財)日本海事センター企画研究部専門調査員等を経て、現在(公財)日本海事センター研究員。研究分野は国際法、国際環境法。近年の論文として「SOx規制の遵守確保 ─国際法の観点を中心に─」、「GHG排出削減と脱炭素化に向けた対応について ―代替燃料に関する欧州での分析事例を参考に―」(共著)、「船舶の燃費改善と船舶運航・性能管理システム」(共著)等がある。所属学会は、国際法学会、日本海洋政策学会。

畑本 郁彦(はたもと ふみひろ)
 1970年生まれ。広島商船高等専門学校機関科卒業後、外航船員の経験を積んだ後、広島大学工学部に編入。その後、海事コンサルタント業、外航船工務監督、内航船員などの職に就く傍らNPO法人日本船舶管理者協会の理事・技術顧問、一般社団法人 海洋共育センターの特別顧問等を歴任。また、2017年に神戸大学大学院海事科学研究科博士課程を修了した。現在(2019年5月から)は、日本内航海運組合総連合会にて船員対策委員会・環境安全委員会の事務局業務を行っている。海事関係の資格等:一級海技士(機関)、二級海技士(航海)、三級海技士(電子通信)、海事補佐人。専攻:内航海運の船舶安全管理に関する研究主な著書(共著者:古莊雅生):『内航海運概論』2020年、成山堂書店(12月出版予定)、発表論文:「内航海運の船舶管理における法的側面の課題」(『日本航海学会論文集』第136号)、「内航海運における船舶管理業務に関するガイドラインの改善」(日本海運経済学会『海運経済研究』第51号)など。

大内 一之(おおうち かずゆき)
 東京大学工学部船舶工学科卒業後、大阪商船三井船舶(株)入社。1994年に東京大学より学位(工学博士)授与。2000年に(株)商船三井を退社し、株)大内海洋コンサルタントを設立し代表取締役就任。また、東京大学大学院工学系研究科特任教授就任後、2009年より東京大学産学共同研究「ウィンドチャレンジャー計画」の研究代表を務める。現在、㈱商船三井技術顧問、金沢工業大学客員教授。専門は、船舶海洋工学、流体工学、再生可能エネルギー工学、海洋深層水利用学。主要論文に、「PBCFの開発‐プロペラボス後部流れの改善‐」、「密度流拡散装置の研究開発」、「船舶における風力の利用」、「水素生産帆船の研究‐概念と可能性‐」がある。日本造船学会90周年記念懸賞論文賞、日本造船学会賞、運輸省関東運輸局長表彰、運輸大臣表彰、日本太陽エネルギー学会賞、発明協会奨励賞、海洋深層水利用学会賞を受賞。所属学会は、日本船舶海洋工学会、日本マリンエンジニアリング学会、日本航海学会、日本機械学会、海洋深層水利用学会等。

荻野 義雄(おぎの よしお)
 一橋大学経済学部卒業。株式会社三井銀行(現三井住友銀行)入行、プロジェクトファイナンスや国際金融、リース業務などに従事。在籍中に世界銀行グループの国際金融公社(International Finance Corporation)や日本貿易保険に出向。現在、株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー執行役員事業開発本部副本部長。航空機や船舶、コンテナのリースビジネスに携わる。米コロンビア大学MBA。

万谷 小百合(まんたに さゆり)
 東京商船大学卒業後、航海士として長距離大型フェリーに乗船。海技教育機構海技大学校で学生課長を経て、現在同大学校研究統括室長兼務航海科准教授。専門分野は航海法規、極水域運航訓練。近年の論文として、「衝突のおそれ・避航動作・適用航法決定過程の相違-漁ろう従事者と一般動力船運航者の行動からの検証-」、「「船員の常務」と「注意深い船長」の解釈の相違-「船員の常務」数値化の問題-」、著書として、『二級・三級海技士(航海)口述試験の突破 法規編 6訂版』(共著)、『海技士3N 口述対策問題集 航海科口述試験研究会編』(共著)」。所属学会は、日本航海学会、日本海洋人間学会。現「南極地域観測統合推進本部輸送計画委員会委員」、「公益社団法人神戸海難防止研究会常任調査研究委員」等委員。

藤本 昌志(ふじもと しょうじ)
 神戸商船大学卒業後、2005年大阪大学大学院法学研究科博士後期課程修了。神戸大学海事科学部助手、助教授を経て、現在、同大学海洋教育研究基盤センター副センター長、准教授。博士(法学)。一級海技士(航海)。専門分野は海上交通法、安全管理、海事行政。近年の論文として、「海上衝突予防法39条の「船員の常務」の法的解釈について-海難審判裁決取消請求判決から見た検討-」、「衝突のおそれ・避航動作・適用航法決定過程の相違-漁ろう従事者と一般動力船運航者の行動からの検証-」、「小型船舶の衝突海難防止のための特別規定に関する提言」(当誌第63集、2014年)、著書として『概説 海事法規 2訂版』(共著)、『図解海上衝突予防法11訂版』、『図解海上交交通安全法9訂版』等がある。2012年BEST PAPER AWARD(Asia Navigation Conference 2012)、2017年日本航海学会論文賞受賞。所属学会は、日本航海学会、日本海洋政策学会、日本海洋人間学、公法学会、The Nautical Institute。

亀山 嘉大(かめやま よしひろ)
 京都大学博士(経済学)。財団法人国際東アジア研究センター研究員、香川大学大学院地域マネジメント研究科准教授、佐賀大学経済学部准教授を経て、現在、同大学教授。公益財団法人アジア成長研究所客員教授。専門は都市経済学、交通経済学。その他、高知新港振興プラン検討委員会座長を務める。近著に『復興の空間経済学-人口減少時代の地域再生-』(共著・日本経済新聞出版社)、「中四国・九州地域における自動車部品供給企業の生産性と輸送を含むマーケットポテンシャル」(第27回 日本海運経済学会賞(論文の部))「北九州港ひびきコンテナターミナルに寄港したクルーズ船の船員の観光行動の規定要因-Norwegian JoyとCosta Serenaの事例から-」(共著・本誌67集、2018年)、「地域産業政策に関するパネルデータ分析」(共著・2020年度 応用地域学会論文賞)がある。所属学会は応用地域学会(第33回 研究発表大会実行委員長)、日本海運経済学会、日本交通学会、East Asian Economic Association等。
                                                   (敬称略)

冬季休業のお知らせ

2020年12月26日(土)から2021年1月3日(日)まで冬季休業とさせて頂きます。

2019年度日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」授賞式に出席しました。

2020年7月31日(金)、(株)商船三井本社(東京・港区)にて、(公社)日本海洋少年団連盟主催の2019年度「褒状山縣賞」授賞式が開催され、当財団から郷古理事長が出席しました。

同賞は、同連盟が優秀な団員又は卒団後も引続き海洋少年団員の指導等に当たっている指導者を顕彰するために、同連盟の第3代会長を務めた山縣勝見(当財団創設者、初代理事長)の名を冠し、当財団からの助成を受けて、2010年度から開設したものです。今回は7名の受賞者のうち2名が授賞式へ出席され、同連盟の芦田昭充会長((株)商船三井名誉顧問)から挨拶と受賞者への表彰状・バッチの授与がありました。当財団郷古理事長からも祝辞を送り、記念品として、『号丸譚 心震わす船のものがたり』(木原知己著、2018年6月海文堂出版刊。)の著者サイン本を受賞者の皆さんに贈呈しました。

同連盟は、これにより団員の海運、船舶、海洋環境保全等の知識の更なる向上とモチベーションの昂揚を図り、引続き海洋少年団の指導育成に当たる人材を確保し、これらの活動を通じて、全国の少年少女達への海事思想の普及に大きく寄与するとともに、海洋少年団運動の更なる向上を図ることを目指しています。

 

2019年度日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」授賞式

(株)商船三井本社にて 日本海洋少年団連盟 芦田昭充会長(前列中央)、山本裕一理事長(前列左)、当財団郷古達也理事長(前列右)を囲んで受賞者記念撮影(クリックすると大きくなります)


 

日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」については、以下記事をご参照下さい。

褒状山縣賞


「海っ子」第636号(2020年9月1日)

「第48回我ら海の子展」を後援しました。

「第48回我ら海の子展」(主催 一般財団法人サークルクラブ協会、公益社団法人日本海洋少年団連盟)の最終審査会が2020年7月17日ホテル・ニューオータニ(東京)にて開催され、当財団は後援団体として参加しました。
全国の中学生、小学生、幼児から「私の海」をテーマにした絵画3,831点の応募がありました。
その内、国土交通大臣賞3作品(中学生の部、小学高学年、低学年以下の部)はじめ、主催者、後援者、個人審査員による特別賞、金賞、銀賞並びに東日本大震災を機に創設された「がんばろう日本賞」の合計63作品が決まりました。
なお、新型コロナウイルス感染防止の観点から、授賞式については、残念ながら中止となりました。

(※以下の写真をクリックすると、拡大画像が表示されます。)

「第48回我ら海の子展」最終審査会後の審査員集合写真
2020.7.17 於ホテル・ニューオータニ(東京)


山縣記念財団理事長賞には東京都の小学5年生、松本 萌李(もつもと もえり)さんの
絵画「ヨットの準備をする女の子達の朝」が選ばれました。


今後の受賞作品展示会の日程は、以下の通りです。

・ 8月 7日(金)~ 9月 2日(水)銀座ギャラリー(東京メトロ銀座駅・日比谷駅間の地下連絡通路)
・ 10月 1日(木)~10月14日(水)国土交通省 1階ロビー(平日のみ)
・ 10月24日(土)~11月29日(日)アクアマリンふくしま(福島県いわき市小名浜字辰巳町50)
・ 12月12日(土)~ 1月11日(月)琴平海洋博物館「海の科学館」(香川県琴平町)

 

夏季休業のお知らせ

2020年8月13日(木)から14日(金)まで夏季休業とさせて頂きます。

2020年山縣勝見賞受賞者決定

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果(著作・論文)や業績を対象として表彰する制度を発足しましたが、このほど「2020年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します(敬称略)。
 なお、新型コロナウイルス感染予防の観点から、受賞者への贈呈式の開催については未定です。
     

     

≪著作賞≫

小林 登(こばやし のぼる)著『定期傭船契約論』
(信山社出版、2019年7月刊行)

受賞者略歴
 1947年生まれ。1972年東京大学法学部卒業、1987年上智大学法学部助教授、1992年同教授、同年K・ルーヴァン大学客員教授(1992年12月まで)、同年パリ第二大学客員研究員(1994年9月まで)、1996年東北大学法学部教授、1999年成蹊大学法学部教授、2004年パリ第一大学客員研究員(2006年9月まで)、2016年成蹊大学名誉教授。主要著書は、『現代商法入門』(有斐閣、2014年)、『保険法コンメンタール(損害保険・傷害疾病保険) 』(同、2014年)。

受賞理由
 我が国の海商法において、長年極めて重要であり、解決が難しい問題の一つとされてきた定期傭船契約に関し、2018年に運送法、海商法に関する規定が大幅に見直され、新たに商法に定期傭船契約に関する規定が置かれることになった。そこで、そのような改正がなされた背景や議論の状況はどのようなものであったのかを、英米法とドイツ法を中心に、フランス法も含んで幅広く比較法的考察により解明した本書は、著者の長年の研究の集大成であると同時に、時宜を得た著作と評価する。
     

≪著作賞≫

水本 邦彦(みずもと くにひこ)著『海辺を行き交うお触れ書き-浦触の語る徳川情報網-』
(吉川弘文館、2019年8月刊行)

受賞者略歴
 1946年生まれ。1975年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、現在京都府立大学・長浜バイオ大学名誉教授、文学博士。主要著書は、『近世の村社会と国家』(東京大学出版会、1987年)、『草山の語る近世』(山川出版社、2003年)、『徳川の国家デザイン』(小学館、2008年)、『村―百姓たちの近世―』(岩波書店、2015年)。

受賞理由
 江戸時代に全国の海辺の町や村に行き交っていた海運・海難に関するお触れ書き「浦触(うらぶれ)」を、40年以上にわたり、北は青森から南は四国・九州まで踏破、全国各地に残された古文書を調査することで、その当時の通信手段や伝達された内容を調査し、徳川幕府体制の情報ネットワークの実態解明に迫った。これは、わが国の海事交通文化の研究・普及発展に貢献する研究成果と言える。
     

≪論文賞≫

 該当者なし
     

≪功労賞≫

池田 宗雄(いけだ むねお)(元東海大学海洋学部教授)

受賞者略歴
 1938年生まれ。1961年東京商船大学航海科卒業・三井船舶入社、1968年甲種船長、1969年東京商船大学専攻科修了、1981年大阪商船三井船舶(株)船長、1988年(財)日本気象協会航路気象部部長代理、1992年(社)日本海難防止協会海上交通研究部部長、1996年東海大学海洋学部教授、2002年工学博士、2013年海事技術史研究会会長、現在同会顧問。主要著書は、『船舶運航のABC』(成山堂書店、1983年)、『船舶知識のABC』(同、1983年)、『港湾知識のABC』(同、1986年)、『七つの海を行く』(交通研究協会、1993年)。共著に『産業と気象のABC』(成山堂書店、1990年)、『生気象学の事典』(朝倉書店、1992年)がある。

受賞理由
 海事関係の入門書である『船舶知識のABC』『港湾知識のABC』はロングセラーとなっており、海事関係者のみならず、広く一般読者にも受け入れられている。また、海運会社や学界他でも活躍され、広範囲にわたり顕著な足跡を残している。こうした海事産業全般に対する多大なる貢献と功績は功労賞に値する。
     

≪特別賞≫

菊池 金雄(きくち かねお)

受賞者略歴
 1920年生まれ。1939年無線電信講習所(現電気通信大学)修了、1940年大同海運入社、北米・東南アジア航路に乗船。戦時中、陸・海軍徴用船乗組み通信士官として戦火の海を挺身、1951年大同海運退社、海上保安庁入庁、1981年海上保安庁退職、1984年保護司委嘱、2000年退任、2020年6月 満100歳を迎える。

受賞理由
 太平洋戦争を徴用船員として生き抜き、2002年5月体験記を著書『硝煙の海』(武蔵野文学舎)として上梓。同名のホームページも起ち上げ、戦時中の徴用船にまつわる秘話の聞き取り調査も、閲覧者と交流を重ねながら行っている。長年にわたる太平洋戦争時の徴用船の記録/取材活動を通じて、海事交通文化の発展に寄与したことを評価する。

                                                        以上

おかげさまで、山縣記念財団は6月3日設立80周年を迎えました。

当財団は、昭和15年(1940年)6月3日、現在の(株)商船三井の源流のひとつである旧辰馬汽船の社長であった山縣勝見によって「財団法人辰馬海事記念財団」として設立され、2020年6月3日設立80周年を迎えました。

現在は、①海事研究誌『海事交通研究』の発行、②「山縣勝見賞」(著作賞、論文賞、功労賞、特別賞)の運営、③補助金助成事業の三事業を中心に活動しています。また、本年度中には、設立80周年記念出版として、近世以降の日本の海運人20数名の評伝集『日本の海のレジェンドたち』の発行を予定しています。