- 18/06/15
当財団は、2012年9月27日、当時の理事長、田村茂の編著による『海、船、そして海運―わが国の海運とともに歩んだ山縣記念財団の70年―』を発行しました。本書は、当財団の70年の歴史を語るのみではなく、海、船、海運と周辺の話題を、広く、よもやま話風に、それぞれの話を独立させて掲載し、海運関連の事柄に知識と興味をもっていただくことにより、われわれ財団の活動にもご理解をいただければとの思いで書かれました。
今般、本書の発行から5年半を迎え、在庫が些少になった機会に、当財団の主要三事業等に関するその後の資料を追加し、第二版を発行することと致しました。
今後とも、本書が、海、船、海運に関する話題の提供に少しでも役立つことを願っております。
一般財団法人 山縣記念財団
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(本の表紙の写真)
本書目次
はじめに
第1部 財団設立前史(前編─明治維新までの話)
第1話 清酒“灘の生一本”と宮水の話
第2話 樽廻船の話
第3話 惣一番船、新酒番船の話
第4話 北前船の話
第5話 船のトン数は西欧ではワイン樽で日本では米俵で決まった
第6話 廻船式目の話
第7話 江戸時代のわが国は内航海運大国であった
第2部 財団設立前史(後編─財団の設立までの話)
第8話 わが国の近代海運業の成立
第9話 明治の初め自前の外航商船隊を持つことが極めて重要であると認識した出来事
第10話 辰馬汽船が株式会社として発展していく話
第11話 辰馬本家酒造や各酒造元の話
第12話 白鹿の銘の話
第13話 神戸が海運市場として発展する話
第14話 外国人居留地の話
第15話 大正時代と昭和初期におけるわが国の近代海運業の躍進の話
第16話 山下亀三郎の話
第17話 和製海運英語であるCharter…Base(チャーター・ベース)の話
第3部 財団設立(1940年)の頃の話
第18話 辰馬汽船の戦前の経営の話(前編)
第19話 辰馬汽船の戦前の経営の話(後編)
第20話 辰馬海上火災と興亜火災海上の話
第21話 海の日と明治丸の話
第22話 南極観測船「宗谷」と辰馬汽船の話
第23話 猫と船の話
第24話 山縣勝見の生い立ちの話
第25話 山縣勝見が辰馬汽船に入社の話
第26話 財団設立の話
第4部 終戦から海運集約まで
第27話 終戦と新日本汽船のスタート
第28話 「春」シップと各日本船社のそれぞれの船名の話
第29話 山縣勝見が船協会長、参議院議員として対米海運交渉に臨む話
第30話 山縣勝見のサンフランシスコ平和条約に向けての海運交渉の話
第31話 山縣勝見とサンフランシスコ講和会議の話
第32話 辰和丸の遭難事故と西宮市満池谷墓地の追悼碑の話
第33話 終戦後の財団活動の話
第34話 財団の年報の話
第35話 海法ゼミナールの話
第36話 由起しげ子「本の話」(芥川賞受賞作品)と財団の話
第37話 佐波宣平博士と財団の話
第38話 計画造船と三島型貨物船の話
第39話 清酒「天下の春」の話
第40話 風見鶏の館と財団の話
第41話 萌黄の館と財団の話
第42話 神戸市立中央図書館の「松本海事文庫」の話
第43話 松本一郎(当財団2代目理事長)の自叙伝が日経新聞(1979/9/4)に掲載された話
第44話 ノアの方船と海事用語の話
第45話 新日本近海汽船の話
第46話 海運集約の話
第5部 YSライン、ナビックスラインそして商船三井へ
第47話 仕組み船の話
第48話 今治船主の台頭の話
第49話 わが国の高度経済成長時のYSラインの話
第50話 オイル・ショックなどの話
第51話 われわれのオフィスの話
第52話 下條哲司先生と財団の話
第53話 海上保険とロイズなどの話
第54話 船の話いろいろ
第55話 船のスピードと減速航行の話
第56話 ナビックスラインのスタートの話
第57話 国際競争力確保のための、厳しいリストラの話
第58話 データーで見るナビックスラインの10年の歩み
第59話 ナビックスラインの10年を振り返って山縣元彦の話
第60話 21世紀に入って海運未曾有の好況の話
第61話 囚人のジレンマ(Prisoner’s…Dilemma)の話
第62話 海運企業が陥る同じ失敗の繰り返しの話
第63話 結びにかえて
第6部 各種資料と史料
その1 『海事交通研究』(年報)への掲載論文、「山縣勝見賞」、補助金助成申込の募集
その2 山縣勝見賞 歴代の受賞者
その3 山縣記念財団役員/評議員在任表
その4 財団刊行の「海事交通研究」(年報)のバック・ナンバー・リスト
その5 財団による主要出版図書の紹介
その6 山縣記念財団の年表
編著者紹介
田村 茂
1939年生まれ。1962年新日本汽船入社。その後、山下新日本汽船、ナビックスライン、ナビックス近海、商船三井近海、商船三井内航など、主として不定期船各部門に従事。2004年より2009年まで乾汽船勤務。2010年7月より2012年12月まで一般財団法人山縣記念財団理事長を務める。編著者による『不定期船実務の基礎知識』(2009年3月刊行)は(社)日本海運集会所による2009年度の「住田正一海事奨励賞」を受賞。(社)日本海運集会所海事仲裁人。2013年没。
以上
- 18/05/17
当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果(著作・論文)や業績を対象として表彰する制度を発足しましたが、このほど「2018年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します(敬称略)。
なお、受賞者への贈呈式は7月20日(金)海運クラブにて行います。
記
≪著作賞≫
岸本宗久(きしもとむねひさ)編著『海上衝突予防法史概説』
(成山堂書店2017年2月発行)
受賞者略歴
1937年生まれ。東京商船大学商船学部航海科卒業、太平洋海運(株)入社(海上勤務)、その後甲種船長免許(現、一級海技士(航海))、海事補佐人登録、1974年明治大学法学部法律学科卒業、1976年 小川田川二宮法律事務所(現、小川総合法律事務所)入所。以降、海事補佐人として各種海難審判補佐並びに海難事故調査に従事する。現在、日本海事補佐人会副会長、日本船長協会理事。著書に『船舶衝突の裁決例と解説』(共著、成山堂書店)、論文に「マラッカ王国海法」(日本船長協会)、「舷灯考」(海洋会会誌『海洋』)など。
受賞理由
長い間、船舶の衝突を予防する方法は船員により、なかば慣習的に実施されてきたが、成文化されたのはわずか150年ほど前のこととされている。本書は、成文化されるはるか前の時代から現在までの衝突予防策から法制度までを、世界各国の法令・条約の変遷に言及しながら、多くの学術書にありがちな難解な用語や表現を可能な限り少なくし、大変読みやすい平易な文章で、初心者でも理解しやすいように書かれている。また、海上衝突予防法の抱える問題を過去・現在・未来にわたって網羅した歴史書的な一面も併せ持つ、啓蒙的な示唆に富む著作となっている。
≪論文賞≫
畑本郁彦(はたもとふみひろ)著「内航船の安全管理体制構築に関する研究」
(神戸大学大学院海事科学研究科/海事科学専攻 博士学位論文2017年9月)
受賞者略歴
1970年生まれ。広島商船高等専門学校機関科卒業、川崎汽船(株)入社(海上勤務)。(株)海洋総合技研取締役、(株)海総研テクノフィールド代表取締役、NPO法人日本船舶管理者協会理事等を歴任し、現在成進海運(株)(機関長)勤務のかたわら、日本船舶管理者協会技術顧問。また、2000年広島大学工学部第一類(機械系)卒業(工学学士)の後、2017年神戸大学大学院海事科学研究科博士課程修了。一級海技士(機関)、海事補佐人。発表論文として、「内航海運の船舶管理における法的側面の課題」(『日本航海学会論文集』第136号)、「内航海運における船舶管理業務に関するガイドラインの改善」(日本海運経済学会『海運経済研究』第51号)など。
受賞理由
日本の内航海運は、船員問題をはじめとする諸問題に対し、国土交通省の主導の下、グループ化による船舶管理会社を設立し、業務の効率化を推進する船舶管理会社活用政策を展開しているが、管理会社の安全品質が明示されていないことなどの理由で、実現されていないのが実情である。そのような現実的な問題意識に基づき、内航船の安全管理体制を構築する内航海運に必要な施策を具体的且つ分かりやすく明らかにしている点で大いに評価できる。また、日本船舶管理者協会・技術顧問として実務上の問題に日々向き合い、学界・業界の最先端の知見を得ながら問題解決に尽力している点で、学術的にも実務的にも非常に価値の高い論文と言える。
≪功労賞≫
今津隼馬(いまづはやま)(東京海洋大学名誉教授)
受賞者略歴
1945年生まれ。東京商船大学商船学部航海科卒業。東京大学工学部、大学院工学研究科非常勤講師、東京商船大学商船学部教授を経て、東京海洋大学海洋工学部教授、理事・副学長を歴任。その間、船舶技術研究所、海上保安庁、交通政策審議会、人事院の研究員・専門委員などを務める。「避航法に関する研究」で工学博士(東京大学)。著書に、『双曲線航法』、『電波航法』(共著)、『避航と衝突予防装置』など。また、「衝突針路を使ったOZT(相手船による妨害ゾーン)を用いた衝突警報の検討」(日本航海学会誌Vol.188、2013年)などの論文がある。2013年、工業標準化(ISO)で経済産業大臣表彰を受賞。現在、東京海洋大学名誉教授。
受賞理由
同氏は長年にわたり東京商船大学他にて教鞭を執られ、以来我が国の航海学界を牽引されてきた。その間、日本航海学会の副会長を歴任し、日本航海学会賞を二度受賞、また、多数の著書や論文を通じ、我が国航海学の第一人者であり続けてきた。また、学会の発展と有為な人材の育成に尽力し、多大な功績を果たした。
≪特別賞≫
谷川夏樹(たにがわなつき)(画家)
受賞者略歴
1976年生まれ。兵庫県在住。13歳から独学で油絵を描き始める。2000年から、EARTHにARTという言葉が含まれることから、屋号をEARTH CONTAINERとして、コンテナを経済のみならず文化的側面から捉える作家活動をはじめる。油彩による平面作品と平行して、実物のコンテナに「コンテナくん」の顔をペインティング。世界を旅する本物のコンテナを通じてアートと社会の関わりについての可能性を探っている。2005年第24回新風舎出版賞特別賞受賞。著書に、作品集『EARTH CONTAINER#1-コンテナくん見た?』、『AloAloha!コンテナくんハワイの旅』、『コンテナくん』、月刊『かがくのとも』通巻588号『かもつせんのいちにち』などがある。
受賞理由
『かもつせんのいちにち』、『コンテナくん』(いずれも福音館書店刊)ほか一連の絵本のモチーフとして船を取り上げ、とりわけ内航船の役割や深刻な船員不足を知り、内航海運の存在を広めようという意識で小学生や未就学児童に船や海運に親しんでもらうための絵本を上梓している。そのような活動を通じ、子供たちのみならず、その親の世代に対しても海事文化の理解に一役買っている点が評価できる。
以上
- 18/03/30
3月30日、当財団評議員 逸見真氏(東京海洋大学学術研究院海事システム工学部門 教授)編著による『船長職の諸相』を発行し、海事関係団体・企業・図書館・研究者などに配本しました。関心をお持ちの方、お読みになりたい方は、下記までe-mail又はお電話にてお問合せ下さい。
一般財団法人 山縣記念財団
TEL: 03-3552-6310
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp
本書目次
目 次
発刊に際して
執筆及び編集者紹介
第一章 指揮管理
1.はじめに
2.船長の肩の重荷
3.船長が遵守すべき国際条約・規則
4.船内給食の管理
5.おわりに
第二章 風
1.はじめに
2.帆装型式
3.世界の帆船
4.日本丸・海王丸
5.練習帆船の訓練と効果
6.帆走性能
7.帆船の航海
8.帆船の航海の実際
9.おわりに
第三章 シーマンシップ
1.はじめに
2.シーマンシップの意味するところ
3.規則とシーマンシップ
4.認知行動とシーマンシップ
5.ノンテクニカルスキルとシーマンシップ
6.船長とシーマンシップ
7.おわりに
第四章 歴 史
1.はじめに
2.勝 海舟
3.福沢諭吉
4.中浜万次郎
第五章 法
1.はじめに
2.法的責任
3.国際法(海洋法)
4.沿岸国、寄港国の国内法
5.海洋環境の保護
6.ISM コード(国際安全管理コード)
7.水先人との同乗
8.船員労務管理
9.おわりに
「発刊に際して」より
本書の起こりは、平成28年7月に東京海洋大学海洋工学部で開催された公開講座、「船長という仕事」にある。船長の名称はちまたに十分に流布してはいるものの、その実際の職務、職責については市井、未だ寡聞にして想像の域に留まるのではないかとの危惧が、本講座企画のきっかけとなった。
講師は外国航路、練習船の船長経験をお持ちの本学の元、及び現役の教授職にある諸氏四名にお願いした。船舶の運航管理、法規制、船員の資質に関する最新の知見が各人各様に、海のプロとしての鋭い視点から論じられた講座には一定の評価が得られ、好評であった。
そしてこの度、船長という仕事の実像を広く人口に膾炙(かいしゃ)すべく、(一財)山縣記念財団殿のご厚意を頂き一冊の本にまとめて上梓する運びとなった。
本書をまとめるに際し、各講師には改めて稿を起こして頂いた。先の講座の開催より少しく時を経ていることより、可能ならば講座における既出の内容に、新たな学問的情報や研究の進展による知見を取り入れて頂くようお願いし、結果として本書の各論考は過日の講演内容と比べ優れて発展的な充実を見ている。所収の各論考には講師それぞれの船長職のご経験をベースに、一船の長としての見識はもとより、船長の職責に係る専門のご研究が披露されている。
以下、本書の内容について簡潔に俯瞰(ふかん)したい。
第一章「指揮管理」は井上一規船長の執筆による、船長の職業意識の流れ、船長が熟知して遵守すべき国際条約の概要、そして特に乗組員の船内生活にとり必要不可欠な供食管理に関する論考である。井上船長は戦後の日本人船長の意識変化を、一般人の船長に対する意識調査をも加えて渉猟(しょうりょう)、論じられている。過去、数十年に渡る日本人船長の意識は、世界情勢に左右される国際海運の紆余曲折の中で様々に変化してきた一方、船舶や乗組員の安全の確保及び維持という、責任の自覚と使命感はいささかも変化を見ていないと結論付けられている。また供食管理は具体的な食材の購入、調理法、栄養管理のみならず、乗組員のモチベーションやメンタルにまで影響を与える職責であり、船長の率先垂範が重要と指摘されている。ご自身のご経験を踏まえられた船の上での食へのこだわりは、他に例を見出し難い貴重な論考である。
第二章「風」は國枝佳明船長により、世界に活躍する現代の帆船の概要と共に、帆船の運航とこれにかかわる船長の職務、及び帆走商船の研究の現状と将来について述べられたものである。現在の汽船はその登場からたかだか200年を数える程にしかないのに比べて、数千年あるいはそれ以上に渡る海上輸送は、偏に気まぐれな風に翻弄されてきた悠遠なる営みであった。帆船運航のノウハウを知ることはかつての帆船時代に想いをはせるのみならず、自然に立ち向かい、またこれに順応して航海の安全を追及してきた船長ら、船乗りの先達らの英知を学ぶことにもつながるのである。國枝船長は国土交通省(独)海技教育機構(旧航海訓練所)にて航海士時代より帆船の運航に通暁され、本論考では帆船海王丸の船長のご経験より風を科学的に、及び経験に根差した感性より捉えて運航に供する醍醐味を披露されている。
また國枝船長は昨年のNHK大河ドラマ、「おんな城主直虎」に度々登場した帆船に係る操船指導もご担当になられている。
第三章「シーマンシップ」は、竹本孝弘船長によるシーマンシップに関する論考である。シーマンシップとは古くて新しい船乗りの技術の要諦、スピリットであると表現できようか。竹本船長はご自身のご経験や先達の諸言を引きつつ、海で船を動かした者ならば素直にうなずける旧来のシーマンシップの観念を整理される一方、ご専門のヒューマン・ファクター研究に基づき、人の認知行動、身体的な特性、ノンテクニカルスキルの考え方等、最新の知見の他、広く国際条約の規定をも包括され、船長、船員の陥りやすいエラーについて論じられている。本論考は正に、船舶の運航に重要とされた知識、技術、経験の充実がその教育と訓練の必要性へと軸足を移し、更にはこれらを取り巻くノンテクニカルスキルの習得が唱えられる現代的シーマンシップ考であると称しても、過言ではなかろう。
第四章「歴史」は橋本進船長による、咸臨丸の渡米にまつわるエピソードである。わが国の商船とその運航に関する制度や慣習は、明治の文明開化を経て導入された欧米のシステムである。鎖国政策の下でのわが国の海運は沿岸航海に徹し、欧米では当たり前となっていた大洋航海とその術を知らなかった。橋本船長はいわば日本人にとりフロンティアとしての大洋航海の世界を江戸末期の幕臣、勝海舟らによる咸臨丸の米国就航に焦点を当て、船長(船将)であった勝を中心に、同乗した福沢諭吉、ジョン万次郎、及び米国海軍軍人ジョン・M・ブルック他の人となりを織り交ぜて論ぜられている。いずれも近代日本の開闢(かいびゃく)にとりなくてはならない偉人達ではあったが、船の上であらわとなる彼らの意外な一面が語られた興味深い論考となっている。
第五章「法」では、逸見が法と船長とのかかわりについて、具体的な課題や問題と共に論じた。
船長諸氏の論考を通覧して抱くのは、船舶の運航とは様々な科学的、学問的な探究に支えられた、船長、乗組員による人間行動であるとした心象である。船長職の実際を様々な側面より抽出された諸氏のご指摘は、何れもが本船の安全運航にとり欠くことのできない指針且つ教訓であり、改めて船長を中心とした乗組員による、諸研究の成果に支えられた誠意誠実な実務実践の尊さが偲ばれるのである。
尚、各章の内容と構成に関してはそれぞれの執筆者の裁量に委ねたこと、執筆者の所属する組織、機関の教育方針や考え方を著したものではないことを、ここに付記させて頂く。
終わりにこのような出版の機会を頂いた山縣記念財団、前理事長小林一夫殿、現理事長郷古達也殿に、この場をお借りして熱く御礼申し上げ、併せて今後の財団のご発展と関係諸氏のご健勝を祈念し、お礼の言葉に代えさせて頂きたい。
(逸見記)
執筆者の略歴
第一章担当 井上 一規(いのうえ かずき)
1985年3月 東京商船大学(現東京海洋大学、以下同じ)商船学部航海学科卒業
日本郵船(株) 船長を経て、
2010年4月 東京海洋大学先端科学技術研究センター 教授
2015年4月 同大学学術研究院海事システム工学部門 教授
一級海技士(航海)
博士(海事科学)
第二章担当 國枝 佳明(くにえだ よしあき)
1982年 3月 神戸商船大学商船学部航海学科卒業
1982年 9月 神戸商船大学乗船実習科修了
1982年10月以降 運輸省航海訓練所(現(独)海技教育機構、以下同じ) 助手・講師・助教授・教授
2005年 7月~07年7月 国際協力機構(JICA)専門家としてフィリピン(マニラ)に派遣
2007年10月以降 同所練習船銀河丸、練習帆船海王丸、各船長を歴任
2014年10月 東京海洋大学先端科学技術研究センター 教授
2017年 4月 同大学学術研究院海事システム工学部門 教授
一級海技士(航海)
博士(海事科学)
第三章担当 竹本 孝弘(たけもと たかひろ)
1984年3月 東京商船大学商船学部航海学科卒業
1984年9月 東京商船大学乗船実習科修了
1984年10月 運輸省航海訓練所 助手
1989年1月 東京商船大学商船学部 助手として出向(1990年12月まで)
1991年1月以降 運輸省航海訓練所 講師・助教授
2001年10月 (独)航海訓練所 教授
2007年7月 同所練習船大成丸 船長
2009年4月 東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科 教授
2014年4月 同大学大学院海洋科学技術研究科海洋工学系 教授
2017年4月 同大学学術研究院海事システム工学部門 教授
一級海技士(航海)
博士(海事科学)
第四章担当 橋本 進(はしもと すすむ)
1949年 高等商船学校航海科卒業 運輸省航海訓練所入所
1968年 同所 教授
1972年以降 同所船長 練習汽船大成丸、練習帆船日本丸、練習汽船北斗丸 各船長歴任
1976年 練習帆船日本丸 船長として、米国独立200年祭記念帆船パレードに参加
1987年 東京商船大学 教授
1992年 定年退官
一級海技士(航海)
医学博士
編集及び第五章担当 逸見 真(へんみ しん)
1985年3月 東京商船大学商船学部航海学科卒業
1985年9月 東京商船大学乗船実習科修了
新和海運(株) 船長を経て、
2009年4月~13年3月 (独)海技大学校(現(独)海技教育機構) 講師・助教授・准教授
2012年4月~14年3月 同校付属練習船 船長併任
2014年4月 東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科海洋工学系 教授
2017年4月 同大学学術研究院海事システム工学部門 教授
一級海技士(航海)
博士(法学)
以上
- 18/03/26
2018年3月16日(金)、川崎汽船(株)本社(東京・千代田区)にて、(公社)日本海洋少年団連盟主催の2017年度「褒状山縣賞」表彰式が開催され、当財団から郷古理事長が出席しました。
同賞は、同連盟が優秀な団員又は卒団後も引続き海洋少年団員の指導等に当たっている指導者を顕彰するために、同連盟の第3代会長を務めた山縣勝見(当財団創設者、初代理事長)の名を冠し、当財団からの助成を受けて、2010年度から開設したもので、今回は5名の皆さんが受賞されました。
表彰式への出席は内3名で、席上、同連盟の前川弘幸会長(川崎汽船(株)顧問)から挨拶と受賞者への表彰状・バッチの授与があり、続いて当財団郷古理事長からも祝辞を送り、記念品として、図書『たいせつなことは船が教えてくれる』(藤沢優月氏著、2012年11月金の星社刊、後記「注」をご参照下さい)を受賞者の皆さんに贈呈しました。
同連盟は、これにより団員の海運、船舶、海洋環境保全等の知識の更なる向上とモチベーションの昂揚を図り、引続き海洋少年団の指導育成に当たる人材を確保し、これらの活動を通じて、全国の少年少女達への海事思想の普及に大きく寄与するとともに、海洋少年団運動の更なる向上を図ることを目指しています。
川崎汽船(株)本社にて 日本海洋少年団連盟 前川弘幸会長(前列右)、当財団 郷古達也理事長(同左)を囲んで受賞者記念撮影(クリックすると大きくなります)
注:藤沢優月氏著『たいせつなことは船が教えてくれる』:著者(文筆家)が日本郵船のコンテナ船『NYKオルフェウス』に実際に乗船した体験をもとに、若者に対して、働くことの意義、出会い、絆など人が生きる上で大切なことは何か、についてメッセージを送っている青少年向け図書です。
本件参考URL: 日本海洋少年団連盟フェイスブック2018年3月15日投稿の「海っ子624号」の2面
- 18/01/10
1月10日付にて、松尾泰彦(まつお やすひこ)が新たに理事に就任致しました。
これに伴い、財団案内-役員・評議員・研究員のページを更新しました
- 17/12/26
当財団は、新年1月5日(金)より、以下三事業の募集を致しますので、夫々の募集要領(又は、早見表)をご覧の上、末尾の連絡先宛、是非ご応募・お問合せをお願いします。
1.海事交通研究第67集寄稿論文募集
当財団は、『海事交通研究』(年報)を1965年(昭和40年)11月に創刊し、海運とその周辺分野に関する最新の研究成果を発表して参りました。
2.2018年山縣勝見賞の募集
当財団は、2008年に創立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海事交通文化の調査・研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を表彰しております。
3.2018年度補助金助成申込の募集
当財団は、海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への補助金助成活動を行って参りました。
※※※※ 1.『海事交通研究』第67集への掲載論文の募集要領 ※※※※
1. 募集対象分野:海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野をテーマとする
論文等で以下のいずれかでお願いします。
(1)「指定テーマ」:
①海運・造船・港湾と地方創生(「論文」形式でお願いします。)
②海事教育の現場から(「論文」ではなく、活動報告/提言の形式でお願いします。)
(2)「自由テーマ」:執筆者の希望するテーマで、原則として「論文」形式とします。
2. 応募資格者:どなたでも応募出来ます。
3. 応募原稿 :未発表のもので、原則日本語としますが、相談に応じます。共著も可。
4. 容量:A4版縦置き横書き(40字×40行)で10ページ(目次・図表・注等を含む)を目安としますが、最大12ページまでを厳守して下さい。
5. 応募・審査手順:
(1) 以下につき、ご了承の上、ご投稿をお願いします。
①二重投稿・剽窃・自己剽窃とみなされる論文等の投稿は不可。
②著書や新聞等の文献から引用した場合及び発想を転用した場合は、出典(著者名・
タイトル・発行所名・発行年月等)を明記する。但し、ホームページ上の資料を利用した場合は、URLとアクセスした日付を明記する。
(2) 論文等執筆の申請をされる方は、年報掲載論文等執筆申請書(以下「申請書」という)を2018年1月5日(金)~2月28日(水)の間に、メール・郵便(2月28日消印まで有効)又はFAXによりお送り下さい。
(3) 当財団の「年報掲載作品編集委員会」(以下「編集委員会」という)が提出された申請書を審査し、論文等の執筆を応諾するかどうかを3月末までにご連絡致します。
(4) 原稿は2018年7月20日(金)までに、メールに添付して送るか、USBメモリ等記録媒体によりお送り下さい。
6. 提出論文の年報への掲載に際しては、査読(注)を経て、編集委員会での審議にて決定し、9月下旬頃までにお知らせします(論文以外の形式で執筆された作品は査読の対象外です)。発行は、11月下旬~12月中旬の予定です。
(注)査読は、大学または大学に準ずる教育研究機関において教育研究の経験のある者、および民間企業等で実務経験のある者の中で、査読対象の論文の研究分野に精通している者によって行い、①新規性・独創性、②有用性、③信頼性・公平性・客観性、④首尾一貫性、課題達成度、具体的提案、⑤読みやすさを評価項目とします。
7. 原稿料:年報に掲載された論文等については当財団所定の料率にて原稿料をお支払します。
以 上
過去の年報掲載論文についてはこちらから
※※※※ 2.「2018年山縣勝見賞」の募集要領 ※※※※
1. 募集対象分野:海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野をテーマとする著作
(共著も可)、論文並びに業績
2. 募集開始日 :2018年 1月 5日(金)
3. 応募締切日 :2018年 3月31日(土)(当日の消印有効)
4. 賞の種類及び対象:
① 著作賞 海事関係の単著又は共著で、2015年1月1日から2017年12月31日までの間に発表されたもの。
(30万円)
② 論文賞 海事関係論文で、上記と同期間に発表されたもの。
(20万円)
③ 功労賞 海事交通文化の発展に顕著な業績のあった個人。 特にその業績の対象期間は問わない。
(20万円)
④ 特別賞 上記三賞に匹敵する功績が認められる個人又は法人並びにその事業
(20万円)
尚、既に他の学会又は団体などから受賞している場合でも受賞の資格を有するものとします。
5. 応募手続:応募は、個人・団体の推薦又は自薦によるものとします。
応募者は、山縣勝見賞推薦/申請書に当該書籍/論文を1部添付の上、提出して下さい。 (書籍は後日返却します。)
尚、推薦/申請書のExcelフォームが必要な方、その他詳細についてはお問い合わせ下さい。
6. 受賞者の発表:受賞者の氏名等は、2018年6月上旬までに当財団のホームページ、その他海事関連のメディアを通じて発表します。
尚、受賞者への贈呈式は2018年7月16日の「海の日」の前後に行います。
以 上
※※※※ 3.2018年度補助金助成申込の募集要領 ※※※※※
1. 募集対象分野:海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への支援・助成
2. 募集開始日 :2018年 1月 5日(金)
3. 応募締切日 :2018年 2月28日(水)(当日の消印有効)
4. 申請条件 :
(1) 2018年4月から2019年3月までに実施する事業であること
(2) 収益を目的とする事業は対象とせず、海事交通文化の振興又は調査研究に関連する事業であること
(3) 既に実施している事業で、その実績が一定の評価を得ているもの、又はこれから実施しようとする事業の場合は、当該事業を実施するための実態的な人材・知見が整い、事業目的が明確に示されていること
(4) 本助成金を利用して活動した後、本助成金の使途に関する事後報告を速やかに行うこと
5. 申請手続 :補助金助成申請書(又はこれに代え、募金趣意書など)を提出して下さい。
6. 審査結果の発表:助成審査委員会(2018年3月上旬開催予定)により審査し、理事会(2018年3月下旬開催予定)に答申。結果は、4月上旬までに申請者宛連絡します。
以 上
【以上三事業の申請書等の送付先・問合わせ先】
一般財団法人 山縣記念財団
〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-10-3 正和ビル5F
TEL:03-3552-6310, FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp
- 17/12/26
≪序文から≫
「海」や「船」そして「海運」の魅力や「海の日」の意味は、どの程度、国民の皆さんに伝わっているのでしょうか?
多くの海事関係者が、我が国の置かれた環境を語る時の定型文言があります。それは、「四面を海に囲まれた(「四面環海」の)日本」という表現です。その後に続く文章は、それが故に、(資源の乏しい)日本は自給自足だけでは国民生活が成り立たず、資源の多くを海外に依存しているということです。そして、その資源の輸入の99.6%(重量ベース)は海上輸送が担っている、というストーリーになっています。しかし、この程度のことでさえ国民にうまく伝わっていないために、必要な海運政策に理解が得られにくいと指摘する海事関係者もおられるようです。
海運の重要性を理解して頂くことは、海事産業が世界と単一市場で渡り合っていることにより税制や諸制度において海外とのイコール・フッティングを図ることの必要性についても理解を得られやすくなり、また、海事産業への人材確保にもつながります。同時に、国民の理解を背景に、航行安全の確保や地球環境の保全に対しての海運界の取組は、より成果を上げることが期待できると思います。これらは海事産業界のメリットに留まらず、回り回って国民の生活の維持・発展につながることでもあります。
さて、今号では、3つの指定テーマに対して全て応募があり、自由テーマも含めて11件と言う多彩な論文等を掲載することが出来ました。また、本年より、「研究論文」を対象に、財団外部の先生方による「査読」を導入しました。そのため、編集に当たり、執筆者並びに査読者の皆様に多大な労力をおかけしましたが、それだけに充実した内容になっていると思います。また、「研究論文」のほかに「招待論文」、「研究ノート」、「現地調査報告」も併せて掲載しております。関係各位に心から感謝申し上げる次第です。
冒頭の星野氏(日本海運経済学会会長)による「産業の集積とイノベーション」は、海事クラスターの視点から、本年の「指定テーマ1:日本にとって「海運」とは何か?」について述べて頂きました。わが国の海事クラスターについては、2001年杉山武彦氏による当誌第50集掲載の論文「海事クラスターの概念とその周辺-概念とその政策上の意義についてのノート-」を先駆けとして、2015年及び2016年の当誌上でも取扱いましたが、星野氏は、日本には海事産業の集積地域はあるものの、海事クラスター構成要素間の横のつながりが依然として弱いこと、従来の枠組みを超えた産官学の連携の強化を図る必要もあること、そうしたつながり、連携の強化が、日本独自の海事クラスターを再定義することに役立つと指摘されています。また、来年度の指定テーマでも「海運・造船・港湾と地方創生」という視点から、海事産業の地域的集積が地域の活性化にどのようにつながっているか考察して頂きたく、皆様からのご投稿をお待ちしております(詳細は巻末のご案内を参照下さい)。
次に「指定テーマ2:神戸港・大阪港開港150年」については、1件の「研究論文」と2件の「研究ノート」が寄せられました。堂前氏・松本氏の共著による「神戸市の海事部門における集積の経済の検証」は神戸市における海事クラスターの集積について、示唆のある分析をされていると思います。
また、井上氏による「開港後の神戸の気象観測と海洋気象台」、並びに、出口氏による「神戸開港150年記念事業を終えて ―神戸港のさらなる発展に向けて―」においても、開港以来の神戸港の発展について概観するとともに、本年の記念事業を終えて、将来への課題について言及しています。
「指定テーマ3:海運業界の環境対応」では、水成氏による「バラスト水管理条約の発効と今後の課題」で、喫緊のテーマについて解説しております。
「自由テーマ」の先頭は、大貫氏による「北極海航路の運航実務と技術的課題 ―氷を知り氷に挑む―」で、北極海航路に係わる最新の知見について披露しております。
次いで、永岩氏の「国際フィーダー輸送の拡大に伴うトラック輸送の軽減に関する研究」では、「労働力不足」の観点から内航海運へのモーダルシフトについて、実質的な処方箋が示されました。
この後の3論文についてですが、大河内氏の「核燃料海上輸送の安全管理と無害通航権―技術基準と権利義務内容の変化―」では、核燃料海上輸送に際して、船舶の無害通航権と沿岸国主権の調整という課題に対して、また南氏の「無人船舶の航行と海上衝突予防法」では、近い将来にも実現の可能性のある無人船舶について、更には、下山氏の「係争海域内での海洋の科学的調査―第三国による実施に伴う課題を中心に―」では、実際に当該海域で海洋調査を実施する場合には、いずれの国に実施申請を行い、いずれの国の法令に従うのかといった未解決な課題について、夫々法律的なアプローチがなされており、いずれも今後の議論展開に際して大いに参考になる論文であると思います。
最後に、イノウエ氏と米田氏の共著による「イシブラスがブラジルに残したもの―ブラジル日本合弁造船事業の結果検証―」は、2度に亘って進出と撤退を繰り返したイシブラスなど日本の造船界について、イシブラスと関わりのあった人々への聴き取りなどを通して、そのブラジル社会に与えた影響力について考察しており、今後の日本の対外進出や日本国内でのグローバル化に向けた対応の参考に供することが出来ると思います。
今年(2017年)は、「海の日」が祝日に制定(1996年)されて21年、「海洋基本法」が制定(2007年)されて丁度10年に当たり、3月末に公示された「新学習指導要領」には、長年海事関係団体の念願であった、海事産業が果たす重要な役割について盛り込まれました。各地の小中学校の教育現場でも、これを受けて社会科などで成果が上がることが期待されます。そこで、来年度のもうひとつの「指定テーマ」には「海事教育の現場から」を選定しました。小中学校の先生方など、広い分野の現場の皆様からの応募を心よりお待ちしております。
重ねて、今号も無事にこのように皆様にお届け出来ることに感謝すると共に、来年度も沢山の応募が寄せられることを期待しております。
2017年12月
一般財団法人 山縣記念財団
理事長 郷古 達也
12月22日発行後、海事関連の研究者の皆様や企業、団体並びに公立や大学の図書館に配本しました。関心をお持ちの方は、下記の「お問い合わせフォーム」から、又はお電話にてお申込み下さい。
又、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。
一般財団法人 山縣記念財団
お問い合わせフォーム
TEL(03)3552-6310
≪目次≫ |
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序文 |
郷古 達也 |
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【指定テーマ1 日本にとって「海運」とは何か?~海事クラスターから
の検討~】
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≪招待論文≫
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産業の集積とイノベーション
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星野 裕志 |
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【指定テーマ2 神戸港・大阪港開港150年】
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≪研究論文≫
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神戸市の海事部門における集積の経済の検証
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堂前 光司/松本 秀暢 |
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≪研究ノート≫
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開港後の神戸の気象観測と海洋気象台
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井上 篤次郎 |
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神戸開港150年記念事業を終えて ―神戸港のさらなる発展に
向けて―
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出口 幸治 |
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【指定テーマ3 海運業界の環境対応】
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≪研究ノート≫
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バラスト水管理条約の発効と今後の課題
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水成 剛 |
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【自由テーマ】
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≪招待論文≫
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北極海航路の運航実務と技術的課題 ―氷を知り氷に挑む―
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大貫 伸 |
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≪研究論文≫
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国際フィーダー輸送の拡大に伴うトラック輸送の軽減に関する
研究
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永岩 健一郎 |
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核燃料海上輸送の安全管理と無害通航権―技術基準と権利
義務内容の変化―
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大河内 美香 |
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無人船舶の航行と海上衝突予防法
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南 健悟 |
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係争海域内での海洋の科学的調査―第三国による実施に
伴う課題を中心に―
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下山 憲二 |
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≪現地調査報告≫
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イシブラスがブラジルに残したもの―ブラジル日本合弁造船
事業の結果検証―
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マリレイア・イノウエ/米田 清 |
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※≪研究論文≫は、査読付き論文です。
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≪執筆者紹介≫
(掲載順)
星野 裕志(ほしの ひろし)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。米国ジョージタウン大学経営大学院修士課程修了(MBA)。日本郵船(株)、神戸大学経営学部経済経営研究所助教授を経て、現在、九州大学大学院経済学研究院教授。神戸大学海事科学部、タイ国立Mae Fah Luang大学客員教授。2011-12年、2015/2017年 米国コロンビア大学訪問研究員。ビジネススクールを中心に教育・研究活動に携わる。専門分野は国際経営、国際物流。「定期船海運業における戦略的提携-船社間の協調と競合-」(1999年日本海運経済学会賞受賞)、「海運企業のグローバル展開とマネジメント」(同学会2004 年度ベスト・ペーパー賞受賞)、「海運企業のグローバル・オペレーションを支える組織の分析」(当誌第58集、2009年)はじめ多くの論文の執筆の他、現在科研プロジェクト「パナマ運河拡張の国際貿易と物流への影響」を研究中。国土交通省、自治体などの各種委員会委員、市民活動の育成など幅広い活動に従事する。日本海運経済学会会長、多国籍企業学会理事、国際ビジネス研究学会理事、ケース・メソッド研究会主宰。
堂前 光司(どうまえ こうじ)
神戸大学海事科学部卒業。同大学院海事科学研究科海事科学専攻博士課程前期課程修了。現在、同博士課程後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC2)。研究テーマは、我が国の拠点空港/港湾における国際競争力強化に向けた研究。主要論文は、「国際航空輸送からみたアジア主要都市の拠点性の検証-関西国際空港を活用した大阪の国際都市戦略に向けた提言-」(平成28年度(公財)関西交通経済研究センター懸賞「提案・提言」論文優秀賞受賞)、‘Business Connectivity, Air Transport and the Urban Hierarchy: A Case Study in East Asia. Journal of Transport Geography’(日本交通学会2016年学会賞(論文の部)受賞)、「海事部門における管理機能の集積とその形成要因-アジア地域を中心に-」(日本海運経済学会第17回国際交流賞受賞)等。所属学会は、日本海運経済学会、日本交通学会、アジア交通学会、およびAir Transport Research Society。
松本 秀暢(まつもと ひでのぶ)
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程現代経済学専攻単位修得退学。博士(経済学)。現在、神戸大学大学院海事科学研究科准教授。専門分野は、国際交通論、交通経済学、都市経済学等。主要論文は、‘International Air Network Structures and Air Traffic Density of World Cities. Transportation Research Part E’(日本海運経済学会第17回学会賞(論文の部)受賞)、‘Business Connectivity, Air Transport and the Urban Hierarchy: A Case Study in East Asia. Journal of Transport Geography’(日本交通学会2016年学会賞(論文の部)受賞)、「海事部門における管理機能の集積とその形
成要因-アジア地域を中心に-」(日本海運経済学会第17回国際交流賞受賞)。また、「日本拠点空港の国際競争力強化に関する研究」により、(一財)村尾育英会第33回学術奨励賞受賞。Journal of Transport Geographyの国際編集委員。所属学会は、日本交通学会、日本海運経済学会、応用地域学会、アジア交通学会、Air Transport Research Society等。
井上 篤次郎(いのうえ とくじろう)
1956年神戸商船大学航海科を卒業し、同大学の助手、次いでニューヨーク大学気象学・海洋学科助手を務める。1967年ニューヨーク大学大学院博士課程修了。博士(Ph.D.)。神戸商船大学助教授、教授、学生部長を経て、1992年より学長。1998年より名誉教授。専門分野は、波浪予報、海洋気象学。論文‘On the Growth of the Spectrum of a Wind Generated Sea According to a Modified Mile-Phillips Mechanism and its Application to a Wave Forecasting’はじめニューヨーク大学での波浪予報の研究成果
は「ブリタニカ百科事典」にも紹介され、日本を含め世界の波浪予報の原型となっている。元海洋気象学会会長、英国王立地理学協会フェロー。
※ 執筆者の称号は「神戸商船大学名誉教授」とあるが、「神戸商船大学」はその後「神戸大学海事科学部」に改組された。しかし「名誉教授」の称号は、授与された当時の大学名称とともに使用されるので、本件記載が正しい。
水成 剛 (みずなり たけし)
1999年海上保安大学校卒。海上保安庁に入庁し、航海科職員として巡視船での現場業務及び本庁情報通信課での業務を経て、2013年退職。2014年より(公社)日本海難防止協会海洋汚染防止研究部主任研究員となり現在に至る。IMOでの環境関連委員会等への参加の他、油濁事故発生時に備え沿岸地形等を調査し地図化する「沿岸域環境情報マップ」の作成、港内における危険物の取扱を検討する港則法危険物検討業務に携わっている。また、砕氷船への乗船経験からの氷海・北極海関連分野、海洋・宇宙連携分野等幅広い分野に携わっている。日本海洋政策学会所属。
大貫 伸(おおぬき しん)
東京商船大学航海科卒業。1980年山下新日本汽船(株)(合併によりナビックスライン(株)を経て、現在の(株)商船三井)入社、航海士拝命。1994年日本海難防止協会出向。1998年ナビックスライン(株)退社、日本海難防止協会勤務。2009年研究統括本部部長。油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画「国内の各種分野の専門家(油防除技術/国土交通省総合政策局推薦)」。日本環境災害情報センター会長。台湾行政院アドバイザーや各種委員会委員等を歴任。海洋環境保全・海難防止・沿岸域環境脆弱性指標図・極海運航実務等が専門。日本航海学会に所属。山縣記念財団評議員。
永岩 健一郎(ながいわ けんいちろう)
2003年東京商船大学大学院商船学研究科博士後期課程修了。広島商船高専助教授を経て、現在同校流通情報工学科教授。博士(工学)。専門分野は、ロジスティクス(モーダルシフト、内航海運)。最近では、労働力不足とモーダルシフトの問題、内航フィーダー船の利用拡大や離島における買い物弱者対策について関心をもつ。近年の論文としては、「国際フィーダー航路の集貨力に関する基礎研究」、「西日本におけるインランドデポの配置に関する研究」、「買物弱者対策としての移動販売車の販売経路に関する基礎研究」、「内航コンテナ輸送の拡大に関する一考察」(当誌第63集、2014年、共著)などがある他、『交通と物流システム』、『内航海運』などの共著作がある。2003年日本航海学会賞、2007年物流学会賞受賞。日本物流学会、日本航海学会、日本海運経済学会、内航海運研究会所属。
大河内 美香(おおこうち みか)
1999年パリ大学法学部第3課程(DSU)卒業、2000年東京都立大学大学院博士後期課程単位取得退学。修士(法学、立教大学)、高等研究学位(国際法、パリ大学)。現在東京海洋大学学術研究院海洋生命科学系海洋政策文化学部門准教授。研究分野は、国際法・海洋法・海上安全・テロ対策・大陸棚。主要論文に「国際関心事項及び国内管轄事項としての検疫の位置―国際機関と国家の権限の整序―」(江藤淳一編『国際法学の諸相―到達点と展望―』、信山社、2015年)、感染症の制御における海港検疫と海運の位置─海上交通の安定を視座として─(当誌第64集、2015年)がある。国際法学会、日本海洋政策学会、日本航海学会に所属。
南 健悟(みなみ けんご)
静岡大学人文学部法学科卒業後、北海道大学大学院法学研究科法学政治学専攻博士前期課程及び後期課程を修了し、小樽商科大学商学部企業法学科准教授を経て、2017年日本大学法学部法律学科准教授に就任。博士(法学)。早稲田大学海法研究所招聘研究員。研究テーマは、会社法における労働者の地位の研究、船舶衝突法・海上労働法の研究。主要論文に、企業不祥事と取締役の民事責任(一~五・完)―法令遵守体制構築義務を中心に」、「違法停泊船と航走船との衝突に関する一考察」(当誌第61集、2012年)、「改正船員法の概要と論点―船員概念及び船長に対する労働時間規制の検討を中心に」、「港湾施設の損傷と港湾利用者の法的責任に関する一試論」(当誌第63集、2014年)がある。所属学会は、日本海法学会、日本私法学会、日本航海学会、日本労働法学会。
下山 憲二(しもやま けんじ)
関西大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得後退学。修士(法学)。高知短期大学(准教授)を経て、2015年海上保安大学校准教授に就任。政策研究大学院大学連携准教授も併任。専門は、国際法(海洋法)、研究テーマは海洋の科学的調査、船舶の通航権。主要論文に、「海洋環境保護を理由とする無害通航の規制―沿岸国による海洋環境保護措置の拡大を中心に-」、「排他的経済水域におけるMilitary Surveyに関する一考察―国連海洋法条約第13部における海洋の科学的調査との相違をめぐって-」、「200海里を超える大陸棚における海洋調査活動―国連海洋法条約第246条6項が提起する問題―」がある。国際法学会、防衛法学会、日本海洋政策学会に所属。
マリレイア・フランコ・マリーニョ・イノウエ (Marileia Franco Marinho Inoue)
E-mail: marileiainoue@gmail.com.
イノウエは日系人だった夫(故人)方の姓で、本人は日系ではない。小学生のとき、太平洋戦争の直前に日本に留学した同郷人の著作を読んで日本に関心を持った。ブラジル連邦立リオ・デ・ジャネイロ大学(UFRJ)修士(社会事業)、サン・パウロ大学博士(社会学)。現在、UFRJ 准教授(社会事業)。研究対象は社会的少数者・弱者。「ブラジルの日本人移民:軌跡、想像、記憶」(Imigrantes Japoneses no Brasil: Trajetória,Imaginário e Memória)サン・パウロ大学 2010年(共著)など、日系移民に関する著書や論文がある。特に1910年頃に活躍した山縣勇三郎や1930年代末の水力発電所建設など、リオ・デ・ジャネイロ州の日系移民を専門領域としている。イシブラスはその延長線上にある。
米田 清(よねだ きよし)
E-mail: yoneda@fukuoka-u.ac.jp.
リオ・デ・ジャネイロで小学生だったときにイシブラス第1船の進水式を見学して同社に関心を持った。早稲田大学卒業(工業経営)、同修士(数学)。ブラジル国立宇宙科学研究所(INPE)修士(システム分析)。(株)東芝在職中に早稲田大学博士(工学)。1999年より福岡大学経済学部教授(オペレーションズ・リサーチ)。ベルギーのルーヴァン・カトリック大学客員研究員(サプライ・チェーン・マネジメント、1年間)。ブラジルのカンピナス総合大学 (UNICAMP) 客員教授(生産工学、1年間)。ポーランドの学術誌(DMMS)の編集委員(意思決定)。現在、自律的な主体(人間や自動機械)の行動を逆問題として簡潔に記述する方法とソフトウェアの開発にあたっている。
(敬称略)
- 17/11/13
(公財)交通研究協会が実施し、日本貨物鉄道(株)が運営する「第10回住田物流奨励賞」の受賞者が決定し、11月10日飯田橋のホテル メトロポリタン エドモントで表彰式が行われました。
今回の住田物流奨励賞には、当財団の理事である高田富夫氏(流通経済大学流通情報学部教授)の著書『ロジスティクス管理の方法』(2017年3月、当財団発行)が選ばれました。
なお、本書は、既に日本海運経済学会総会で「第26回日本海運経済学会賞」を受賞しており、嬉しいダブル受賞となりました。
本書の内容及び著者高田富夫氏の略歴については、こちらをご覧下さい。
本書に関するお問合せ、入手申込みの方は、下記までe-mail又はお電話にてご連絡下さい。
一般財団法人 山縣記念財団
TEL: 03-3552-6310
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp
- 17/08/23
「第45回我ら海の子展」(主催 一般財団法人サークルクラブ協会、公益社団法人日本海洋少年団連盟)の授賞式が2017年8月18日ホテル・ニューオータニ(東京)にて開催され、当財団は後援団体として参加しました。
全国の中学生、小学生、幼児から5,026点の応募がありました。
その内、国土交通大臣賞2作品(中学生の部、小学生以下の部)はじめ、主催者、後援者、個人審査員による特別賞、金賞、銀賞並びに東日本大震災を機に創設された「がんばろう日本賞」の合計130作品に各賞が贈られました。
(※以下の写真をクリックすると、拡大画像が表示されます。)
「第45回我ら海の子展」授賞式後の集合写真
2017.8.18 於ホテル・ニューオータニ(東京)
山縣記念財団理事長賞には北海道の中学2年生、中山 留位(なかやま るい)さんの絵画「苫小牧埠頭」が選ばれ、当財団郷古理事長より中山さんに賞状が贈られました。
今後、受賞作品展示発表会が全国を巡回予定です。
展示会の日程は、以下の通りです。
・ 8月 4日(金)~ 8月29日(火) 銀座ギャラリー(東京メトロ銀座駅・日比谷駅間の地下通路)
・ 9月 4日(月)~ 9月15日(金) 国土交通省 1階ロビー(平日のみ)
・ 9月30日(土)~11月23日(木・祝) アクアマリンふくしま(福島県いわき市小名浜字辰巳町50)
・ 11月28日(火)~12月17日(日) 氷川丸(横浜市中区山下町山下公園地先)
・ 2018年開催予定 海の科学館(香川県琴平町)、晴海客船ターミナル(東京都)
- 17/08/02
2017年8月14日、15日を夏季休業日とさせて頂きます。
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